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■NEWS カテコラミン製剤の持続投与中断による医療事故事例を紹介―医療安全情報

登録日: 2025-05-18

最終更新日: 2025-05-18

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日本医療機能評価機構は5月15日、「医療安全情報No.222」を公表した。シリンジポンプでカテコラミン製剤を持続投与中に注射器の交換が遅れ、患者の循環動態に影響があった事例が2019年1月〜25年3月の間に10件報告されているとし、注意を促した。

主な事例の発生経緯をみると、事例1では患者にシリンジポンプでノルアドレナリンの調製液を9.6mL/hで持続投与していた。12時30分頃、担当看護師は調製液の残量が15mLであることを確認し、休憩後に注射器を交換することにした。ところが休憩から戻った後は別の緊急入院患者の対応を優先してしまい、注射器の交換を行わなかった。このため14時17分頃になってシリンジポンプの過負荷アラームが鳴り、確認すると患者の血圧は30mmHg台に低下しており、すぐに注射器を交換した。

事例2の患者もシリンジポンプでノルアドレナリンの調製液を10mL/hで持続投与されていた。21時10分頃、看護師Aはシリンジポンプの残量アラームが鳴ったために消音し、担当看護師Bに伝えた。看護師Bは自分で注射器を交換すると返答したものの、投与中止による影響を知らなかったために別の患者の対応を優先した。5分後に過負荷アラームが鳴った時、看護師Bは他の患者の対応中だったことから看護師Aがノルアドレナリンを調製し、注射器を交換した。投与を再開した時点で患者の血圧は40mmHg台に低下していた。

機構は事例発生の主な背景として、優先順位の誤り、知識不足、伝達不足―があると指摘。事例が発生した医療機関において、(1)患者に投与しているカテコラミン製剤の種類や交換時間を各勤務帯で共有する、(2)注射器内の薬液の残量と流速から交換時間を推定し、余裕を持って交換する、(3)カテコラミン製剤の持続投与が中断すると、患者の循環動体に影響が及ぶことを周知する―といった再発防止の取り組みが行われていることを紹介した。


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