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C型肝炎抗ウイルス療法後の肝発癌スクリーニングとフォローアップ期間は?

No.4942 (2019年01月12日発行) P.58

伊藤隆徳 (名古屋大学医学部附属病院消化器内科)

舘 佳彦 (藤田医科大学ばんたね病院消化器内科 (第2病院)講師)

登録日: 2019-01-15

最終更新日: 2019-01-08

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  • 肝炎治療薬の進歩によりC型肝炎ウイルスはほぼ完全に排除できる時代になりました。しかし一方で,抗ウイルス療法にてウイルスが消失した場合に,どれくらい肝病態の改善が得られるのか,またその後の肝発癌スクリーニングやフォローアップの期間はどのように決めればよいか迷うことがあります。
    この点に関して,藤田医科大学ばんたね病院・舘 佳彦先生のご解説をお願いします。

    【質問者】

    伊藤隆徳 名古屋大学医学部附属病院消化器内科



    【回答】

    【全症例において永続的なフォローアップが必要と思われる】

    direct-acting antivirals(DAA)による抗ウイルス治療の進歩により,ほぼすべての症例においてC型肝炎ウイルス(HCV)の排除が得られるようになりました。ウイルス排除後の肝病態の改善に関して,筆者らはインターフェロン治療前とウイルス排除成功後に平均5.8年の間隔で肝生検を施行した97例において,線維化ステージの改善が45%,変化なしが48%,増悪が6%存在したことを報告しています。一部,ウイルス排除後にもかかわらず線維化が増悪する症例が存在することが示されました。しかもウイルス排除後の累積発がん率が,肝線維化が増悪した症例において有意に高率であることも示されました1)

    線維化の改善は個々の症例により異なっているため,ウイルス排除前後に肝生検を施行された130例において,線維化の改善を予測する因子に関して検討したところ,治療終了後24週時のα-フェトプロテイン(α-fetoprotein:AFP)値が5.4ng/mL未満であること,genotype2型であることが線維化の改善に関連していることがわかりました2)。国内の他の報告からも,治療終了後24週時のAFP高値はHCV排除後の新規発がんに関連していることが複数報告されていますので,ウイルス排除が得られた後もAFP値の低下が認められない症例においては,線維化の遷延や新規発がんに対する十分なサーベイランスが必要であると思われます。

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