統合失調症は,人口の約1%が発症するきわめて重篤な精神神経疾患である。しかしながら,いまだに病態生理が解明されていない。そのため,根本的な治療法も存在しない
現代における統合失調症の治療戦略のひとつとしての薬物療法は,あくまでも幻覚や妄想などの精神症状の緩和をめざしたものにすぎない。したがって,現在の薬物療法では本疾患の根治は望めない
今後のあるべき統合失調症の治療戦略は「完全な根治」をめざすべきである
統合失調症患者の約30%は,免疫障害によって統合失調症が引き起こされているという知見が臨床および基礎研究で報告されている。以下に我々の統合失調症と免疫障害との関係に関する主要な研究成果の一部を示す
統合失調症は,現代精神医学の最重要課題の疾患であり,幻覚,妄想そして認知機能障害が主な症状である。人口の約1%が発症し,好発年齢は20歳前後の思春期・青年期である。そして最大の問題点は,現在の治療法では根治が望めないということである。しかも最新の治療薬でも,錐体外路系症状などの副作用の発現が高率に認められる。その結果,統合失調症に罹患した患者は,生涯にわたり精神症状と薬剤の副作用に苦しまなければならないのである。
これらはすべて統合失調症の病態が未解明であるために,根治的治療法も確立されていないからなのである。
近年,統合失調症の病因のひとつとして神経炎症が関与しているとの研究知見が得られた。本知見は統合失調症の根治療法に繋がる可能性が期待される。