社会保障審議会の医療部会(永井良三座長)が17日に開かれた。「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」の報告書を踏まえ相澤孝夫委員(日本病院会会長)は、救急医療の現状などについて、高齢者施設で働く人への教育の必要性を指摘した。
同部会では、厚生労働省の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」が先月、医療現場の危機を共有するための方策の実施などを求める報告書を公表したことを説明。また、人生の最終段階における医療・ケアを本人が家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合うアドバンス・ケア・プランニング(ACP)について、厚労省が普及・啓発を目的として愛称を一般公募した結果、「人生会議」に決定したことを報告した。厚労省は今後、ロゴの募集やイベントの開催などを行い、更なる普及活動に取り組むとしている。
懇談会の報告書を踏まえ、相澤孝夫委員(日本病院会会長)は「ターゲットを絞った上で行動変容を促さなければ、効果は上がらない」と強調。現場で問題なのは、「老人ホームなどの施設の入所者が、軽症にもかかわらず夜間に救急車で搬送されてくることだ」として、「施設で働いている人に教育をしなければ意味がない」と述べた。
ACPについては島崎謙治委員(政策研究大学院大学教授)が「最も重要なのは意思決定の中身が医療に反映されることだ」と指摘。救急搬送時に意思決定に基づく医療が行われるよう仕組みを整備する必要性を訴えた。
岩田太委員(上智大法学部教授)は、消防庁の「傷病者の意思に沿った救急現場における心肺蘇生の実施に関する検討部会」が現在、心肺停止時に救急車を呼ばれた際に蘇生を行うべきかの議論を行っていることを紹介した。これについて複数の委員は、消防庁の検討部会に厚労省がオブザーバーとして参加していることを問題視。積極的に関わるよう求めた。