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精神疾患にミクログリアが関与する

No.4946 (2019年02月09日発行) P.51

森 蓉子 (愛媛大学精神科)

登録日: 2019-02-11

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【アルツハイマー病や統合失調症の末梢血でTREM2 mRNA発現が上昇する】

triggering receptor expressed on myeloid cells 2(TREM2)遺伝子は,脳ではミクログリアに発現し,DNAX-activating protein of 12kDa(DAP12)遺伝子とともに那須・ハコラ病の原因遺伝子として知られる。那須・ハコラ病は,身体的には病的骨折を起こすが,脳では,ミクログリア活性低下による白質脳症が行動異常などの前頭葉機能障害と関係すると予想されている。

近年,海外の研究から,アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)ではミクログリアの活性亢進が存在しており,TREM2多型とAD発症が関連していること,末梢血TREM2 mRNA発現がADで上昇していることが報告された1)。筆者らは,日本人を対象として解析した結果,やはりADにおいては末梢血TREM2 mRNA発現が上昇していることを追認し,さらに統合失調症患者の末梢血においてもTREM2 mRNA発現が上昇していることを示した2)

以上から,神経変性疾患であるADと機能性精神疾患とされる統合失調症では,共通するミクログリア活性の変化が起こっており,それぞれの病態に関与すると考えている。

【文献】

1) Lue LF, et al:Brain Pathol. 2015;25(4):469-80.

2) Mori Y, et al:PLoS One. 2015;10(9):e0136835.

【解説】

森 蓉子 愛媛大学精神科

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