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【OPINION】「世界頭頸部癌の日」に向けて

No.4760 (2015年07月18日発行) P.16

岸本誠司 (亀田総合病院頭頸部外科部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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  • 2014年7月、ニューヨークで開催された頭頸部癌学会国際連合の第5回世界会議において、世界各国の頭頸部癌学会に呼びかけて毎年7月27日を「世界頭頸部癌の日」(World Head and Neck Cancer day)として頭頸部癌の一般人への啓発活動、医学的活動の推進を行おうということになった。

    周知のように、頭頸部癌は鼻副鼻腔・口腔・咽喉頭・頸部などの頭頸部領域に生じた癌の総称である。しかし、発症頻度が全癌の約5%と少なく、さらに多くの部位に細分化されているため、社会的に十分認知されているとは言えない。その一方で、昨今多くの芸能人や政治家が頭頸部癌の範疇に入る舌癌・中咽頭癌・下咽頭癌、さらに喉頭癌などに罹患したことがマスコミで報道されており、一般の人々の注目を集めるようになってきた。

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    最も大きな要因は、喫煙と過度の飲酒である。喫煙による喉頭癌の発症リスクは肺癌よりも高い。さらに過度の飲酒(特に元来酒に弱く、すぐ顔が赤くなるフラッシャー)は食道癌と同時に口腔・中下咽頭など広い範囲の癌の原因となる(これを広域発癌〔field cancerization〕という)。これらに対し、日本頭頸部癌学会では2006年に『禁煙・節酒宣言』を表明し、頭頸部癌発癌予防に努めてきた(http://www.jshnc.umin.ne.jp/psmd.html)。また、口腔内のう歯や不衛生も口腔癌の大きな発症要因となるため、口腔ケアも重要な予防策となる。

    さらに、最近注目を集めているのがヒトパピローマウイルス(HPV)感染による中咽頭癌発症である。子宮頸癌と共に世界的に急増傾向にあり、性習慣の変化がその一因と言われている。

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