厚生労働省は3月29日、「医師確保計画策定ガイドライン」と「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」を都道府県宛てに通知した。「外来医師多数区域」での新規開業希望者に対し、初期救急医療、在宅医療、公衆衛生など地域で不足する外来医療機能を担うよう求めることを明記した。都道府県は外来機能の偏在是正に向け今年度中に「外来医療計画」を策定。2020年度から取り組みをスタートする。
両ガイドラインは厚労省の合同会議が3月に医師偏在対策の詳細を固めた「第4次中間とりまとめ」を踏まえたもの。
外来医療を巡っては、無床診療所の開設状況が都市部に偏っているなどの課題が指摘されている。こうした状況を踏まえ4月に施行された改正医療法・医師法では、都道府県が策定する医療計画に「外来医療計画」を盛り込むことを規定した。
外来医療計画の策定にあたって都道府県は、厚労省が示す計算式に基づき、2次医療圏単位で外来医療機能の偏在・不足等を可視化した「外来医師偏在指標」を定める。その上で、全2次医療圏のうち上位1/3を「外来医師多数区域」と定義。同区域での新規開業希望者に対して夜間・休日の初期救急医療、在宅医療、公衆衛生(産業医、学校医、予防接種)など地域で不足する外来医療機能を担うよう求めるとした。医療機関のマッピングなど、開業に当たり参考となる情報も提供する。
ガイドラインでは、すべての2次医療圏で外来医療提供体制が確保されるよう「新規開業希望者の自主的な行動変容」を促すとしつつ、新規開業者が都道府県の求めを拒否する場合は協議の場への出席や合意しない理由についての文書提出を要請するとしている。
既存の医療機関に対しては、対象区域で求められる外来医療機能を担っているか、医療の提供内容や体制を検討する必要性を指摘。同じ区域内の医療機関の協議により、「医療機関に求められる外来医療機能を確認することが重要」だとした。