厚生労働省は12日、2017年度の市町村国民健康保険の財政状況を公表した。市町村が決算補塡等の目的で一般会計から投じた税金(繰入金)を除いた実質収支は450億円の赤字で、赤字額は前年度から1011億円減ってほぼ3分の1に縮小した。
17年度の国保加入者(被保険者)は約2870万人で、前年度から約142万人減った。これに伴い、保険料収入(2兆7792億円)は前年度から3.9%減となったが、医療給付費(9兆69億円)も前年度から2.8%縮小。さらに収入面では、前期高齢者医療を支えるために被用者保険から拠出される交付金が前年度から6.6%増えて3兆7556億円となったことで、赤字が縮小したとみられる。
経常収支でみると、赤字保険者は全体の20.7%(355保険者)で、前年度から6.9ポイント減少した。
政府は18年度から国保の運営主体を市町村から都道府県へ移管し、公費投入額を2倍に増やすなど、財政基盤の強化を図っている。
厚労省は同日、17年度の後期高齢者医療制度の財政状況も公表した。前年度国庫支出金等精算後の経常収支は180億円の黒字だったものの、黒字額は前年度から141億円(43.9%)縮小した。被保険者数が前年度比2.6%増の約1722万人となったことが影響しているとみられる。
保険給付費は14兆8363億円で前年度から4.1%増加。収入のうち、健康保険組合などからの交付金は6兆1756億円で前年度から3.9%増加した。