厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は24日、緊急避妊薬を初診で対面診療を行わずに処方する場合の要件について議論した。産婦人科の非専門医にも処方を認める厚労省案に賛否が示された。
同検討会は現在、厚労省の『オンライン診療の適切な実施に関する指針』の5月改定に向けて議論している。論点の1つが、初診は対面診療とする原則の例外を明示すること。現行の指針で明示されているのは禁煙外来のみだが、2月の検討会で厚労省は、例外として明示するよう要望があったものとして、「男性型脱毛症」「勃起不全症」「季節性アレルギー性鼻炎」「性感染症」「緊急避妊(薬)」を列挙。治療のリスクと必要性などを検討した結果、このうち緊急避妊(薬)を例外として明示する方向で議論が進められている。
24日の検討会に厚労省は、緊急避妊(薬)を例外とする場合の要件案を提示。「処方する医師は、産婦人科専門医、あるいは事前に厚生労働省が指定する研修を受講することを必須とする」などとした。
これに対し、参考人として出席していた日本産科婦人科学会の北脇城常務理事は反対意見を表明。「事前の妊娠の有無や薬剤の効果の判断は高度な専門知識が必要。産婦人科の知識を持った医師が処方することが最低条件で、これは学会としての要望」と強調した。また、今村聡構成員(日本医師会)も「研修を受講すれば非専門医でも処方できるのであれば、オンライン診療ではなく地域医療で緊急避妊の体制を確保することが先」と指摘するなど、複数の反対意見が示された。
一方、緊急避妊薬の処方機会を確保するために、非専門医の処方を認める意見も複数出されたことから、次回、改めて厚労省が要件案を示すこととなった。