日本医学会は20日、がんゲノム医療を推進するため、がんゲノム情報を国内で一元的に集約・管理する体制の整備を求める声明を発表した。
声明では、日本のがんゲノム医療について、法制面、行政面、倫理・教育面などの社会的基盤としての整備が未だ不十分であるとの認識を提示。さらに、現在、製造販売が承認されている遺伝子パネル検査には、日本人のがん組織の一部を海外に送付して検査を行うものもあることを紹介し、「日本人のゲノムに関する検査が海外で行われること自体、ゲノム情報管理の面から大いに憂慮される」と懸念を表明。「国内で集積・管理されることなく日本人のがんゲノム情報が海外に流出することは決してあってはならない」と強調した上で、2つの提言を発表した。
具体的には、「国民のゲノム情報がわが国で蓄積され、アカデミアや企業が迅速かつ公平・公正に学術研究等に利活用できる体制整備に向けて、官民をあげて取り組む必要がある」と指摘。
また、今年4月24日に開催された中央社会保険医療協議会において、保険診療下で行われる遺伝子パネル検査は、国立がん研究センター内の「がんゲノム情報管理センター」(C-CAT)に提出することが要件となったことを紹介した上で、「患者のゲノム情報の管理を徹底した上で学術研究を一層進めるため、今後、実施された塩基配列の元データを含む遺伝子変異リストをゲノム情報として、国内に一元的に集約・管理する体制を整備する」ことを求めた。