厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は10日、オンライン診療の指針の見直し案を了承した。同省は見直し案に関するパブリックコメントを募集した後、7月にも新指針を通知する方針。
現行のオンライン診療の指針は昨年3月に作成されたもの。厚労省は指針を毎年改訂する方針で、今回は現行の指針で不明瞭な点を明確化するほか、不適切な事例の発生を受けて指針の諸規定を見直した。
見直し案では、2020年4月以降、オンライン診療を実施する医師に厚労省が指定する研修の受講の義務化を明記した。これは、オンライン診療の実施に当たって、 情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となるため。なお、既にオンライン診療を実施している医師は、20年10月までに研修を受講するものとする。厚労省は今年度中にオンライン診療の研修を行う方針。
見直しの議論で最も時間を費やした、初診対面診療の原則の例外の追加に関しては、緊急避妊薬の処方を限定的に認める。現行の指針で例外として明示されているのは禁煙外来のみだが、見直し案では、近くに受診可能な医療機関がないといった地理的要因がある場合や、自治体の相談窓口と連携している医師が、女性の心理的な状態に鑑みて対面診療が困難であると判断した場合には、「産婦人科医または厚労省が指定する研修を受講した医師が初診からオンライン診療を行うことは許容されうる」とした。なお、オンライン診療に関する研修と、緊急避妊薬に関する研修は別に行う。
このほか、患者が看護師等といる場合のオンライン診療(D to P with N)でも指針に則った診療を行うことなどの考え方を明示。さらに、患者が主治医等の医師といる場合にオンライン診療を行うD to P with Dにおいては、遠隔地にいる医師は事前に直接の対面診療を行わずにオンライン診療を行うことができるとした。