子ども虐待のない世の中を実現するためには、私達自身が変わらなければならない。医療機関は子ども虐待の最後の砦ではなく、予防の最前線であるべきだ。
私が初めて虐待を受けた子どもと出会ったのは初期研修医の時だった。全身のあざ、タバコによる根性焼き。一つ一つの傷跡をL字型の定規をあてて、カメラで記録していく(写真はイメージであり実際の症例ではない)。それから今に至るまで、そういった子ども達に何人も出会ってきた。
日本では未だ「子ども虐待」と聞くと、ニュースに流れてくる命に関わるようなものをイメージする人が多い。しかし子ども虐待というのは、いきなりこのような事態が起こるわけではない。虐待はエスカレートする。はじめは言葉で怒鳴ったり、小突く程度から、いずれ命に関わるような状況につながっていく。子ども虐待をなくすためには、エスカレートする前に早期発見、予防していくことが必要である。
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