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めでたい出来事[プラタナス]

No.4993 (2020年01月04日発行) P.1

仲野 徹 (大阪大学医学系研究科病理学教授)

登録日: 2020-01-01

最終更新日: 2019-12-26

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  • あけましておめでとうございます。お正月の決まり文句である。毎年、慣例で言うものの、それほどめでたい訳でもない。では、人生において本当にめでたいと思えたのはどんな時だったろうかと考えてみた。

    まずは大学に合格した時だ。1年間、相当入れ込んで勉強した。こんなことをもう1年続けるのは絶対イヤだと思っていた。大きなパネルに自分の受験番号を見つけた時、本当にうれしかった。それ以上にホッとした。いまでもその情景がありありと目に浮かぶ。

    いちばん最近のは、といっても25年も前のことになるが、教授に選ばれたという連絡を受けた時だ。京都大学医学研究科の医化学教室、本庶佑先生のところで講師を務めていた。超のつく一流研究を目指す環境は厳しかった。自分だけ勝手な研究をさせてもらっている居心地の悪さもあった。

    研究室でその一報を受けた時も嬉しかったが、それよりも、すぐに本庶先生のところへご報告にあがった時のことの方が記憶に鮮明だ。大きな机の向こう側から回ってこられて、がっちり握手してくださった。

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