がんと糖尿病は、それぞれの疾患から見ると併存症のひとつにすぎませんが、近年その関係性が注目されるようになってきました。写真は、糖尿病患者さんに発生した肺癌のX線写真です。
この患者さんは、2年前から糖尿病診療のために外来通院していました。ある日、咳が止まらないとのことで撮影した胸部X線には、大きな腫瘍が映っていました。すぐに精査を行って、最終的に小細胞肺癌のStage Ⅳと診断されました。この写真から肺癌を疑うことは、がんの専門医でなくても難しいことではありません。しかし、残念ながら肺癌検診の受診歴や症状を訴えて胸部X線を撮影する機会はなく、結果として進行した状態でがんが見つかったケースです。糖尿病患者さんはがんの診断時に進行がんとして発見されることが多いことは知られており、今回の事例も特にめずらしいわけではありません。
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