中央社会保険医療協議会総会は4月8日、一般の医療機関が新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者を診察した場合に、受診時間帯に関係なく「院内トリアージ実施料」を算定できるようにするなどの診療報酬上の特例措置を了承した。入院では「救急医療管理加算1」や「二類感染症患者入院診療加算」の算定を認める。感染の拡大で今後、一般医療機関でも患者を受け入れざるを得なくなった場合を想定したもので、医療崩壊を回避する狙いもある。
厚生労働省は3月に発出した事務連絡で、今後、既存の帰国者・接触者外来や感染症指定医療機関での対応可能数を超えるほど、新型コロナウイルスの感染疑い患者や、入院を必要とする重症者が増加した場合は、他の患者と受診時間をずらす、空間的な分離を行うといった感染予防対策を講じた上で、一般医療機関の外来や一般病床での患者受け入れを進めるよう関係者に要請していた。
8日の総会は、こうした医療機関の対応を診療報酬の既存点数を準用して、評価することを了承。具体的には、外来で新型コロナウイルス感染症が疑われる患者を診療した場合は、休日・夜間といった受診時間帯に関係なく、「院内トリアージ実施料」(300点/回)を算定。新型コロナ関係でのみ、同実施料を算定する医療機関は、算定にあたっての事前届出を求めない。入院医療では、二類感染症指定医療機関ではない医療機関が新型コロナ感染症患者を受け入れた場合も、「二類感染症患者入院診療加算」(250点/日)の算定を認める。ただし、いずれもの場合も、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に沿った感染防止対策を講じていることが、算定要件となる。
入院ではこのほか、緊急入院が必要な新型コロナ感染症患者を受け入れた場合の評価として、「救急医療管理加算1」(950点/日)の算定を容認。その際、特例として、入院時の患者の状態や重症度スコアなどの診療報酬明細書への記載や届出を不要とするほか、算定期間を通常の倍の14日間に延長する。また、▶一般病棟の個室や陰圧室に感染患者を受け入れた場合は「二類感染症患者療養環境特別加算」(200〜500点)の算定が可能、▶「地域包括ケア病棟入院料」または「療養病棟入院基本料」算定病棟に感染患者を受け入れた場合はそれぞれ、「在宅患者支援病床初期加算」(300点/日)、「在宅患者支援療養病床初期加算」(350点/日)を算定可能―であることを事務連絡で明確化する。
同日の総会では、薬価制度の抜本改革として21年度から始まる中間年の薬価改定(毎年薬価改定)についても議論。薬価調査の実施方法について薬価専門部会で検討することを了承した。だが、委員からは、事務局である厚労省や、薬価調査の対象である医療機関、薬局、医薬品卸が新型コロナ感染症への対応に追われている現状では、予定通り21年度から実施するのかも含め、議論するべきではないかとの意見が相次いだ。