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トラベルメディスン─もっと広く! [プラタナス]

No.4729 (2014年12月13日発行) P.1

濱田篤郎 (東京医科大学病院渡航者医療センター教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-16

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  • 歴史上の旅行家と言えば、マルコ・ポーロを思い浮かべる方が多いことだろう。彼は13世紀にイタリアのヴェネツィアから元の大都をめざして約3年にわたる旅をするが、その途上、現在のアフガニスタンで原因不明の病気にかかり、1年も療養する苦悩を味わった。古くから旅は苦しいもので、とりわけ旅先での病は多くの旅人を悩ませてきた。

    時を経て現代。交通機関の発達などで旅は楽しいものになり、多くの人々が世界中を動き回っている。しかし、海外旅行者が健康問題を起こす頻度は相変わらず高い。そこで、渡航時の健康問題を予防し治療するための医学として、トラベルメディスンが1980年代に欧米諸国で発祥した。対象は感染症が中心であるが、高山病や航空機内の疾病など広範囲に及ぶ。日本には2000年代に導入され、筆者らはその普及に奔走しているところである。

    日本でトラベルメディスンを普及させるには、いくつかの課題があった。第一に医療機関の数である。欧米諸国では専門医療機関としてトラベルクリニックが各地に設置されているが、日本ではその数が非常に少なかった。筆者らは日本渡航医学会を立ち上げ、医療関係者への教育やクリニック開設のサポートなどを行ってきた。その結果、現在本学会のホームページ(http://www.tramedjsth.jp/)には70箇所以上のクリニックが掲載されている。

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