厚生労働省は10月14日の社会保障審議会医療保険部会に、マイナンバーカードの健康保険証利用や、オンラインでの被保険者資格確認システムの準備状況などを報告した。システム稼働後は、患者の同意があれば医療機関による過去の処方薬剤や特定健診に関する情報の閲覧が可能になり、診療の効率化や重複投薬の防止につながることが期待されるが、マイナンバーカードを読み取る顔認証付きカードリーダーの申込数は病院、診療所とも1割程度にとどまっていることから、同省は引き続き周知を図っていくとしている。
厚労省は、健康保険証化されたマイナンバーカードの読み取りや、個人単位化された被保険者番号の入力で、即座に被保険者資格を確認できる、オンライン資格確認システムを2021年3月から稼働させるための準備を進めている。同省によると、マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、カードのICチップ内の電子証明書のシリアルナンバーと被保険者番号を紐付けするための利用申込みが必要(生涯1回のみの実施)。申込方法は、▶スマートフォンなどから専用アプリをインストールする、▶市町村に設置されたマイナポータル用端末を利用、▶医療機関や薬局の窓口に設置された顔認証付きカードリーダーを利用(21年3月以降)―から選択する。
これと並行して、個人単位化された被保険者番号と保健医療情報を1対1で紐付けして管理し、患者本人や医療機関・薬局が閲覧できるシステムも順次整備する。対象になるのは、①薬剤情報、②特定健診情報、③医療費通知情報で、患者が同意した場合に限り、医療機関は①、②の、薬局は①の閲覧が可能。具体的には、▶特定健診結果情報(既往歴、血圧測定、血液検査、心電図検査の結果など)、▶メタボリックシンドローム基準の該当判定、▶特定保健指導の対象基準の該当判定、▶薬剤情報(調剤年月日、医薬品名、成分名、用法、用量など)―などの経年データを閲覧できるようになる。
同日の部会には、医療機関・薬局におけるオンライン資格確認システムの導入準備状況も報告された。厚労省はシステム稼働の21年3月時点で医療機関・薬局の6割程度が導入済みであることを目標に掲げているが、10月11日時点の顔認証付きカードリーダー申込割合は医療機関・薬局全体の14.5%。内訳は病院11.6%、医科診療所9.0%、薬局24.3%などとなっている。一方、マイナンバーカードの交付枚数に対する健康保険証利用の申込割合は、わずか4.4%と、さらに低調だった。