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■NEWS 外来医療の機能分化・連携の議論が再開、年内の意見集約目指す―厚労省検討会

登録日: 2020-11-09

最終更新日: 2020-11-09

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厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」は1030日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月以来中断していた、外来医療の機能分化と連携に関する議論を再開した。外来医療のうち、紹介外来などの医療資源が重点的に投入される医療機能に着目。地域でこうした機能を基幹的に担う医療機関を特定・明確化することを通じて、患者の受診行動を適正化するとともに、これらの施設を基点に地域における外来機能の分化と連携を進める。12月中に制度の大枠を固めて意見集約し、医療部会に報告する。

厚労省はこの日、検討会で議論する論点として、①「医療資源を重点的に活用する外来」(仮称)のあり方、②「外来機能報告」(仮称)の対象になる医療機関の範囲、③地域における協議の仕組み―の3項目を示した。

①では、地域医療構想や病床機能報告で先行する入院医療と関わりの深い外来を明確化することを足掛かりに、外来医療の機能分化・連携を推進することを提案。「医療資源を重点的に活用する外来」の例として、▶医療資源を重点的に活用する入院前後の外来、▶高額等の医療機器・設備を必要とする外来、▶紹介患者に対する外来―を挙げ、具体的な内容については、別途専門的な場を設けて検討する考えを示した。②は、「病床機能報告」を参考に、各医療機関が「医療資源を重点的に活用する外来」の実施状況を年1回、都道府県に報告する仕組みを創設する。

「医療資源を重点的に活用する外来」を基幹的に担うかどうかは、医療機関が自主的に選択する手挙げ方式とし、地域医療構想調整会議のような地域で協議をする場を設け(論点③)、必要があれば外来機能報告のデータも活用して調整を行う。都道府県が策定する外来医療計画に新たに「医療資源を重点的に活用する外来」を位置づけるとともに、紹介外来を基本にした医療機関であることが患者にわかるよう、広告可能項目に追加する案も示した。

■外来機能報告の対象医療機関が争点のひとつに

外来機能報告の対象医療機関は、病床機能報告に合わせるなら、有床診療所も含まれることになるが、まず病院から初め、必要に応じて対象の拡大を検討するべきだとの声もあり、意見が割れている。加納繁照構成員(日本医療法人協会会長)は、病院数よりも診療所数のほうが圧倒的に多いことを示し、「重装備の診療所も議論しないと数で間違った方向に行く可能性がある。病院に限定するのはいかがなものか」と問題提起。織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は、手挙げ方式で有床診を対象に加えることを提案した。

一方、今村 聡専門構成員(日本医師会副会長)は、病院と診療所では外来の機能が根本的に異なり、眼科や耳鼻科以外の診療所は標榜する診療科にとどまらず、かかりつけ医として様々な診療に対応していると説明。「まず病院から始め、今後の議論として少し時間軸をずらして制度をいいものにしていく議論をしていけばいいのではないか」と話した。

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