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国民のための予防接種施策を決めるのは誰か?[炉辺閑話]

No.5045 (2021年01月02日発行) P.46

菅谷明則 (NPO法人VPD知って、子どもを守ろうの会理事長/すがやこどもクリニック院長)

登録日: 2020-12-31

最終更新日: 2020-12-21

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日本の予防接種施策は科学的なガイドラインに基づき「専門家」が決定すべきである。

2020年10月にロタウイルスワクチンがやっと定期接種となった。世界では既に約100カ国で定期接種となっていた。また、日本ではHPVワクチンは定期接種にもかかわらず、7年間積極的勧奨が中止され、接種率は非常に低く、さらに、すべての先進国で2回の定期接種が行われているおたふくかぜワクチンは、任意接種のままである。

この原因は、接種後の有害事象を科学的に副反応か否か判断するシステムの不在と、「官僚」が予防接種施策を決定するという日本のシステムにあると考えられる。

米国では、ACIPの会議で科学的エビデンスに基づき、「専門家」が予防接種施策を決定している。新しいワクチン導入後はその有効性、有害事象が継続して検討される。現在、新型コロナウイルスに対するワクチンについても、導入後の有効性、有害事象の評価方法を具体的に検討している。

医療は治療、診断、予防にかかわらず、ガイドラインに沿って患者と医療従事者が意思決定することが望ましい。ガイドラインとは国内外のエビデンスに基づき、益と害のバランスを考慮し提示された文書であり、受けられる医療に地域差、医療機関による差がなく、国際水準の医療が受けられることをめざしている。したがって、国と医師が推奨する医療に差があり、受けられる医療に格差が出ることは問題である。

ワクチン導入前の臨床試験では、有効性に比べ安全性の情報は十分ではない。導入後にワクチンが安全に継続して接種されるためには、有害事象を科学的に評価するシステムが不可欠である。さらに、国民の健康を守るための予防接種の施策の決定は、科学的な根拠に基づき「専門家」がすべきであり、マスコミの報道などに左右されてはならない。日本にもワクチンの有効性と安全性をバランスよく評価し施策を決める、本当の意味の「National Immunization Technical Advisory Groups」が必要である

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