厚生労働省の地域医療構想に関するワーキンググループ(WG)は2月12日、人口100万人以上の構想区域における「類似かつ近接」の分析の扱いについて議論した。これら構想区域は狭い面積に医療機関が林立し、この先も人口の増加が見込まれるなどの特性があることから、他の区域と同一で再検証対象を選定するのは困難と判断。該当する区域内にある公立・公的医療機関には、具体的対応方針の妥当性を自主的に確認し、地域医療構想調整会議で改めて議論するよう求めることになった。近く、厚労省が関係者宛の事務連絡を発出する。
公立・公的医療機関のうち、がん・心疾患・脳卒中・救急医療などの領域で、①診療実績が特に少ない、②類似の診療実績を持つ医療機関が車で20分以内の距離にある(類似かつ近接)―のいずれかに該当する場合は、25年の医療機能別病床見込み数などを定めた、具体的対応方針の再検証が求められる。ただ、人口100万人以上の構想区域に所在する場合は、類似の状況の医療機関が多数存在すると想定されることから、対応策が決まるまでは②の類似かつ近接の分析は行わないことになっていた。
厚労省がWGに示したデータによると、人口100万人以上の構想区域には、▶人口50万人以上100万人未満の構想区域と比べて人口、医療資源の密度とも相当程度高い、▶25年まで人口が増加する区域が半数を超え、40年まで増加する区域も1/3程度に及ぶ―など、他の人口規模の構想区域とは明らかに異なる特徴が認められた。
こうした実態を踏まえ同省は、「類似かつ近接」の分析スキームを人口100万人以上の構想区域にも適用し、再検証対象を指定する方法は適切ではないと指摘。「まずは、各公立・公的医療機関等において、自らの診療実績や周辺医療機関の診療実績、医療需要の推移など地域の実情に関する各種データを踏まえつつ、自らが担うべき役割・医療機能などの各々の具体的対応方針の妥当性などについて確認するなどし、地域医療構想調整会議等で改めて議論するよう求めることが望ましい」と提案し、WGでも了承された。