在宅医療の先駆者として長年、在宅医療と退院支援の二足の草鞋を続けてきた。
在宅で高齢者を診ようと決意した日を今も鮮明に覚えている。大学5年生の夏休みに実習生として、近隣で開業する医師の往診に付き添った。脳梗塞で寝たきりになった70代の女性が、団地の一室で経管栄養や採血を受ける姿に衝撃を受けた。亀田総合病院で初期研修を終える頃、ちょうど同病院に発足した在宅医療部の初代医師に就任。呼ばれれば24時間365日必ず対応し、若くして部の責任者を任された。「本当にいい経験でした」
介護保険制度開始前の90年代半ば、地域では家で寝たきりの人をどう「発掘」するかが課題だった。「急性期病院に一定割合で生じる要介護者をきちんと振り分ければ解決できる」と院長に掛け合い、ソーシャルワーカーを増やして相談室を充実させた。以来、在宅医療の受け入れ側と送り出し側を兼務してきた。
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