地域包括ケア病棟は「急性期治療を経過した患者の受け入れ,在宅で療養を行っている患者等の受け入れ,在宅復帰支援」という3つの役割1)のため,2014年よりわが国の医療保険に収載された病棟区分である。その大きな特徴は,入院前後の患者の療養場所と定義していることである。
・ポストアキュートの受け入れ
ポストアキュートとは,急性期の病棟(たいていは一般病棟)からの院内転棟,または急性期病院からの転院を意味する。一般病棟で2~3週以内という急性期の診断・治療を受けたのち,地域包括ケア病棟で2カ月以内の在宅復帰支援,つまり亜急性期の内科治療や併存疾患の管理,リハビリテーション,介護保険サービスの調整などを行う流れとなる。地域医療構想において,地域包括ケア病棟は急性期機能と回復期機能を併せ持っており,ポストアキュートが主体だと回復期機能が選択されてきた。
・サブアキュートからの入院
subは「下に」という意味のラテン語の前置詞に由来する。つまり,サブアキュートとは,下階の自院外来から入院する患者と理解するとよい。では,どのような患者を入院で受け入れるかというと,居宅や施設で日常的な生活支援サービスを受けている,障害児・障害者・老年症候群の外来患者を想定している。これらの外来患者が,軽・中等症の急変と外来で診断されると,この病棟の対象となる。つまり,地域包括ケア病棟はその名の通り,地域包括ケアにおける入院ケアの場としての役割を持つ。
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