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家庭医療学,老年医学,緩和医療学の3領域からアプローチする 在宅医療バイブル<第2版>

在宅医療従事者の座右の書が待望の改訂!!

定価:7,700円
(本体7,000円+税)

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編著: 川越正平(あおぞら診療所院長)
判型: B5判
頁数: 668頁
装丁: 2色部分カラー
発行日: 2018年05月15日
ISBN: 978-4-7849-4408-8
版数: 第2版
付録: -

実際に従事するに当たり,必要となる素養が多岐にわたる在宅医療。本書は,その中でも最重要領域である「家庭医療学」「老年医学」「緩和医療学」の3つの領域に基づき,在宅医療の実践を詳述。質・量ともに “バイブル”の名に恥じない,圧倒的な内容です。
好評を博した初版の刊行から4年。フレイルや地域共生社会の概念,在宅医療・介護連携推進事業の恒久事業化など,在宅医療をめぐる新たな話題を盛り込むとともに項目を再編。最新情報をもとに,よりわかりやすくリニューアルしました。在宅医療従事者の座右の書が待望の改訂です。

診療科: 在宅医療 在宅医療

目次

Ⅰ 家庭医療学・在宅医療総論
1 在宅ケアの理念
2 訪問診療の実際とその意義
3 全身状態のアセスメント
4 在宅医療の導入
5 入退院支援における医療者の役割と在宅の視点
6 治療・ケアのシンプル化
7 継続的なケア
8 患者中心の医療の方法
9 患者・医師関係の深まり
10 家族ケアと多問題家族
1 1 意思決定支援
12 医療と介護の統合
13 多職種協働
14 二人主治医制
15 訪問看護の役割と機能─地域における看護機能
16 薬剤師が果たす役割
17 歯科医師が果たす役割
18 ケアマネジメントの実際とその意義
19 在宅医療を支える地域資源
20 助けを求める力の欠如
21 地域ケア会議
22 診診連携や訪問看護との連携
23 かかりつけ医と地区医師会の役割
24 市町村行政が果たす役割
25 コミュニティデザイン

Ⅱ 老年医学
1 高齢者総合機能評価(CGA)
2 高齢者診療ガイドライン
3 polypharmacy
4 臓器不全の軌道学
5 神経難病の軌道学
6 認知症の軌道学
7 認知症の診断
8 認知症の治療戦略
9 フレイルとサルコぺニア
10 低栄養
1 1 骨粗鬆症
12 骨折と運動器不安定症
13 生活期リハビリテーション
14 ポジショニング
15 在宅における褥瘡の考え方
16 口腔ケア
17 摂食・嚥下障害
18 誤嚥性肺炎
19 医療・介護関連肺炎
20 慢性心不全
21 慢性呼吸不全
22 慢性腎臓病(CKD)
 
Ⅲ 緩和医療学
1 がんの軌道学
2 痛み
3 鎮痛補助薬
4 オピオイドスイッチングと次の一手
5 在宅悪性腫瘍等患者指導管理
6 緩和医療におけるインターベンション
7 呼吸器症状(呼吸困難・咳・死前喘鳴・胸水)
8 消化器症状(悪心・嘔吐,悪性腹水,便秘,消化管閉塞)
9 食欲不振と終末期における輸液
10 倦怠感
1 1 精神症状
12 スピリチュアルケア
13 コミュニケーション
14 生命予後の予測
15 在宅コンフォートセット
16 認知症の方の緩和ケア
17 小児患者の緩和ケア
18 死亡診断

Ⅳ 在宅医療各論・制度
1 在宅医療における各種カテーテルの交換と管理
2 経管栄養管理
3 中心静脈栄養管理
4 在宅人工呼吸療法
5 持続皮下輸液
6 在宅で可能な検査
7 パーキンソン病
8 筋萎縮性側索硬化症
9 精神疾患
10 東洋医学
1 1 小児在宅医療
12 患者を生活に戻す急性期病院
13 地域包括ケア病棟を持つ病院に期待される在宅医療の後方支援
14 中間施設と終の棲家
15 居住系施設における在宅医療
16 介護保険における医師の役割
17 患者を支える諸制度
18 在宅医療の診療報酬制度
19 在宅医療機関の防災の備えについて

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序文

第2版 序

在宅医療に従事するにあたり,必要となる素養は多岐にわたります。その中でも,家庭医療学,老年医学,緩和医療学の3つが,その基盤をなす最重要領域であることをふまえ,3つの領域に基づき詳述する「家庭医療学 老年医学 緩和医療学の3領域からアプローチする 在宅医療バイブル」を2014年2月に刊行しました。

高齢多死社会や支え手となる家族の減少という現実が, 急速に押し寄せつつあります。病院で行われる医療においては,的確な病態解明や高水準の治療遂行こそ医療に期待される役割です。しかし,治癒をめざすことが困難で,侵襲的な医療を実施することも難しい患者や, 認知機能障害のため明瞭に意思を表明できない患者など, 高度先進医療だけでは解決することのできない命題が数多く発生しています。

一方,そもそも医療へのアクセスに制限が生じたとしても,自宅で療養したい患者に対して提供される在宅医療では,患者の生活や人生,取り巻く家族や地域の状況を把握しつつ対応していく必要があります。つまり在宅医療は,緻密な診断や高水準の治療以上に,平穏な生活の継続や苦痛の緩和,生活の質に重きを置くという立場です。加えて,地域の多職種と力を合わせることで初めて成しうる協働や,患者家族の多様な価値観を受け入れるふところの深さなど,幅広い視点やノウハウを求められます。

臨床現場がどこであれ, このような多様な場面や命題に遭遇することはありえます。在宅医療のエッセンスを学ぶことによって,病棟であれ,外来であれ,在宅であれ,患者中心の医療ケアを遂行する際に役立つことでしょう。

初版の刊行から4年が経過しました。この間,フレイルや地域共生社会の概念が提唱され,在宅医療・介護連携推進事業が恒久事業化されるなど,在宅医療への要請はいっそう増しています。改訂第2版の構成を検討するにあたっては,内容を極力新しいものとするとともに,地域で在宅医療に従事する訪問看護師や歯科医師,薬剤師,そしてケアマネジャーなどの皆さんにもお使い頂けるように配慮しました。地域の現場で役立つ座右の書としてご活用頂けましたら幸いです。

2018年 4月
あおぞら診療所院長 川越正平

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レビュー

在宅医療のさらなる地平

新田國夫(日本在宅ケアアライアンス議長)
本書は在宅医療分野における気鋭の医師・川越正平氏が編著として出されたものである。2014年に初版が、2018年4月に改訂第2版が出された。在宅医療の学際性は家庭医療学、老年医学、緩和医療学、リハビリテーション医学等で成り立っているが、この中で「重要な領域としての家庭医療学、老年医学、緩和医療学の3領域を取り上げ、これらの領域の知見を統合する形で在宅医療のエッセンスの結集を企図した」ことは、在宅医療をさらなる地平に導くものである。本書は広範な学際性の中でも、患者中心であることがますます重要であるという高齢社会の医療のあり方を示したものだ。

内容は、できる限り平易な言葉で全編がまとめられており、個別疾患に関しては最新のガイドラインに基づいて明記しつつ、在宅医の果たすべき役割を明確に述べている。本書のnarrative based medicineの解説は、その意味を以下の通り定義している。「病の体験を患者と医師との関係の中で紡ぎ上げる物語としてとらえ、患者の持つ疾患の意味を理解し、一律でない患者一人一人に合わせたケアにつなげるという、患者の主観を重視した医療の在り方」。在宅医療に携わる医療機関は地域のあらゆる課題について対応する所でなければいけない。この書に盛り込まれている、いわゆるゴミ屋敷対策等のコラム、Q&Aは編者の意図がうかがえて面白い。

在宅医療診療ガイドラインについても述べられており、在宅でのサービスに関して、どこまでその有効性が明らかにされているのか、また明らかにされていないのかを浮き彫りにし、今後求められている臨床研究課題を明確にすることが大切との記載はその通りである。ただし、高齢者医療ガイドラインで述べられているように、従来のガイドラインは前期高齢者までが対象のことが多く、在宅医療診療ガイドラインも対象者の年齢が明確になっていない。在宅医療を受ける者のうち85歳以上が50%を超える中、今求められるのは75歳、80歳以上の質の高いエビデンスだ。今後はランダム化比較試験で得られたエビデンスにより、在宅医療診療ガイドラインが作られていくものと確信している。

最後に、「在宅医療という名称は診療の場を示しているにすぎず、生活に着目し人生に伴走する視点や理念を、すべての医療ケアに通底させることによって医療がより豊かになり、この理念があらゆる医療現場で活かされる」という編著者の指摘は、まったく同意見であり、この書を通じて日本の在宅医療の発展を願うものである。

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