新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への効果が期待されながら、効能・効果追加の薬事承認が「継続審議」となっている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)について政府は2月24日、観察研究などでの国内のCOVID-19患者へのアビガン投与が「約1万例」に上っていることを明らかにした。松原仁衆院議員(立憲民主党)の質問に対する政府答弁書で示した。
アビガンについては、製造販売元の富士フイルム富山化学が国内治験のデータを基にCOVID-19の効能・効果追加の承認を昨年10月に申請。しかし、12月の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の審議で「現時点で得られたデータから有効性を明確に判断することは困難」との理由で「継続審議」とされ、アビガンは未承認のまま観察研究などの枠組みでCOVID-19の治療に使用されている。
答弁書の中で政府は、アビガンを巡る審議状況について「現在、部会での再審議に向けて医薬品医療機器総合機構(PMDA)で審査が行われている」と説明。
これまでにアビガンを無償供与した国に関する質問にも答え、「45カ国に対し、それぞれ原則として20人分、最大で100人分を供与した。(供与したアビガンは)政府として備蓄していたものではない。各国への供与に当たっては、相手国との間で、本剤の使用によって得られる臨床研究の結果を我が国に提供することを文書で確認している」とした。
日本からアビガンを無償供与した国(45カ国) アイスランド、アラブ首長国連邦、アルバニア、アルメニア、アンティグア・バーブーダ、インドネシア、ウズベキスタン、エジプト、エストニア、オランダ、カザフスタン、カタール、北マケドニア、キプロス、クウェート、クロアチア、コソボ、サンマリノ、ジブチ、ジョージア、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドミニカ、トルコ、パナマ、ハンガリー、バングラデシュ、フィリピン、ブータン、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マレーシア、ミャンマー、メキシコ、モルドバ、モンゴル、ラオス、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク