編集: | 上原由紀(藤田医科大学医学部感染症科臨床教授) |
---|---|
判型: | B5判 |
頁数: | 184頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2022年08月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6681-3 |
付録: | 無料の電子版(HTML版)が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
◆細菌、抗酸菌、真菌など、様々な原因微生物による臓器横断的な疾患である感染症。診療の基本である原因微生物とその治療薬について整理し、最新の知見でアップデート。
◆各微生物の薬剤耐性や抗菌薬感受性、また臨床現場で使用する各抗微生物薬の投与量・間隔、副作用などの特徴を、非専門の先生方でも迅速かつ正確につかみやすいよう専門家がバッチリ解説。
◆微生物から対応薬剤を、また薬剤から対象微生物を引けるクロスリファレンス対応。
◆感染症診療に携わるすべての医師におすすめの一冊です!
本書は、Webコンテンツ(PDF版+HTML版)としても別途ご購入いただけます
1章 微生物の同定,感受性試験
1 検体採取と輸送,保存
2 塗抹検査
3 培養・同定(生化学的同定,質量分析,遺伝子の一般的知識)
4 薬剤感受性試験
5 薬剤耐性機序検索
2章 微生物ごとの特徴と薬剤耐性
A 細菌
1 Staphylococcus aureus 黄色ブドウ球菌
2 Staphylococcus epidermidis and other CNS 表皮ブドウ球菌とその他のCNS
3 Streptococcus pneumoniae 肺炎球菌
4 α-hemolytic streptococci α溶血性レンサ球菌,viridans group streptococci 緑色レンサ球菌
5 β-hemolytic streptococci β溶血性レンサ球菌
6 Enterococcus species エンテロコッカス属(腸球菌属)
7 Neisseria meningitidis 髄膜炎菌
8 Neisseria gonorrhoeae 淋菌
9 Moraxella catarrhalis モラクセラ・カタラーリス
10 Clostridioides difficile クロストリディオイデス・ディフィシル
11 Actinomyces species アクチノマイセス属
12 Nocardia species ノカルジア属
13 Escherichia coli,Klebsiella species,Proteus species 大腸菌,クレブシエラ属,プロテウス属
14 Enterobacter species,Serratia species,Citrobacter species エンテロバクター属,セラチア属,シトロバクター属
15 Pseudomonas aeruginosa 緑膿菌
16 Acinetobacter species アシネトバクター属
17 Stenotrophomonas maltophilia ステノトロフォモナス・マルトフィリア
18 Haemophilus species ヘモフィルス属―インフルエンザ桿菌を中心に
19 Bacteroides fragilis, other anaerobic Gram-negative rods バクテロイデス・フラジリス,および嫌気性グラム陰性桿菌
20 Salmonella species サルモネラ属
21 Campylobacter species カンピロバクター属
22 Helicobacter species ヘリコバクター属
23 Aeromonas species エロモナス属
24 Edwardsiella species エドワジエラ属
25 Pasteurella species パスツレラ属
26 Capnocytophaga species カプノサイトファーガ属
B 一般的な検査室では検出困難な細菌
1 Mycoplasma pneumoniae,Chlamydophila pneumoniae 肺炎マイコプラズマ,肺炎クラミドフィラ(クラミジア)
2 Legionella pneumophila レジオネラ・ニューモフィラ
3 Chlamydia trachomatis クラミジア・トラコマティス
C 抗酸菌
1 Mycobacterium avium complex(MAC),M. kansasii マイコバクテリウム・アビウム・コンプレックス,マイコバクテリウム・カンサシ
2 rapidly growing mycobacteria(RGM) 迅速発育抗酸菌
D 真菌
1 Candida species カンジダ属
2 Cryptococcus species クリプトコックス属
3 Aspergillus species アスペルギルス属
3章 抗微生物薬の特徴
1 ペニシリン系(点滴):ベンジルペニシリンカリウム,アンピシリン,ピペラシリン等
2 ペニシリン系(経口):アモキシシリン,アモキシシリン・クラブラン酸
3 セフェム系(点滴):セファゾリン,セフォチアム,セフメタゾール,セフトリアキソン,セフェピム等
4 セフェム系(経口):セファレキシン,セファクロル,セフポドキシムプロキセチル
5 モノバクタム系:アズトレオナム
6 カルバペネム系:イミペネム・シラスタチン,メロペネム
7 アミノグリコシド系:ゲンタマイシン,トブラマイシン,アミカシン,ストレプトマイシン
8 ニューキノロン系:シプロフロキサシン,レボフロキサシン,モキシフロキサシン
9 リンコマイシン系:クリンダマイシン
10 マクロライド系:クラリスロマイシン,アジスロマイシン
11 テトラサイクリン系:ミノサイクリン,ドキシサイクリン,チゲサイクリン
12 グリコペプチド系:バンコマイシン,テイコプラニン
13 リポペプチド系:ダプトマイシン
14 オキサゾリジノン系:リネゾリド,テジゾリド
15 メトロニダゾール,フィダキソマイシン,ホスホマイシン
16 ST合剤
17 抗結核薬
18 アゾール系:フルコナゾール,イトラコナゾール,ボリコナゾール
19 キャンディン系:ミカファンギン,カスポファンギン
20 ポリエンマクロライド系:リポソーマル アムホテリシンB
21 フルシトシン
巻頭言
新型コロナウイルスのパンデミックという未曾有の事態に際し,すべての医療従事者は感染症の正確な知識や対応が求められることとなりました。一方で感染症は新型コロナウイルス感染症だけではないわけで,医療従事者は細菌,抗酸菌,真菌の感染症など,様々な感染症に対応しなくてはなりません。
しかし自分が普段興味を持って勉強している分野以外の知識をつけ,また更新するのは,多忙な医療従事者にとって後回しになりやすいことだと思います。私としても自分の専門外の事柄については同様のことをしばしば感じます。臓器横断的な疾患である感染症であるがゆえ,診療の基本である原因微生物とその治療薬について整理した,感染症を専門とする医療従事者でなくても内容が迅速かつ正確に掴みやすい書籍があると,結果として感染症に苦しむ患者さんにも広くお役に立てるものと考えます。
このたび,感染症診療に関する“最新” かつ“実践的” な内容の書籍を編集する機会を頂きました。感染症の診断や治療を専門とする先生方の生の熱き息吹きが伝わるような,実践的な「微生物と薬剤のクロスリファレンス」とすることを本書の編集方針としております。難しい各論は突き詰めれば色々ありますが,「目の前の患者さんをどうすればよいのか?」がわかりやすく提示されることに軸足を置いています。フルカラーの書籍でそれぞれの微生物に関連する写真が入っていることも,微生物と薬剤の組み合わせにリアリティを持って頂くことを可能にしていると思います。
ご多忙の中,難しいお願いをお引き受け頂きました筆者の先生方にお礼を申し上げますとともに,本書が多くの医療従事者と患者さんのお役に立つことを願っております。
2022 年7 月
藤田医科大学医学部感染症科臨床教授
上原由紀