厚生労働省が9月13日に公表した「令和2年(2020年)受療行動調査(概数)」によると、調査対象患者のうち、初診の場所が特定機能病院だった割合は約3割、500床以上の大病院は約4割だった。入院患者で退院後に自宅で療養できる見通しだったのは約6割で、3年前の前回調査から全体的な傾向に大きな変化はなかった。
受療行動調査は、厚労省が、医療行政の基礎資料を得ることを目的に3年ごとに実施。20年調査は全国の一般病院484施設の外来・入院患者約16万人を対象に同年10月に行われ、有効回答数は約10万6000人だった。
外来患者の最初の受診場所をみると、最も多かったのは「最初から今日来院した病院」の53.7%(前回調査比0.2ポイント減)、次いで「最初は他の病院」の26.6%(0.7ポイント減)、「最初は診療所・クリニック・医院」の17.7%(2.3ポイント増)。病床種類別でみた「最初から今日来院した病院」の割合は、特定機能病院が29.7%(0.7ポイント減)、大病院(療養病床を持たない500床以上の一般病院)が39.1%(1.1ポイント減)、中病院(同100~499床)が56.0%(0.2ポイント減)、小病院(同20~99床)が65.5%(0.9ポイント増)―などで、17年調査時とほぼ同様の傾向を示した。
入院患者に今後の治療・療養の希望を聞いたところ、「完治するまでこの病院に入院していたい」が45.1%で最多。次に多かったのが、「自宅から病院や診療所に通院しながら治療・療養したい」の31.2%だった。退院許可が出た場合の自宅療養の見通しで、「自宅で療養できる」と答えたのは58.0%(前回調査比2.5ポイント増)、「自宅で療養できない」は25.0%(1.4ポイント増)。05年以降、自宅で療養できる割合は増加傾向、できない割合は減少傾向が続いていたが、20年調査は前回調査からほぼ横ばいで推移した。
「自宅療養ができない」と回答した患者の自宅療養を可能にする条件では(複数回答)、「入浴や食事などの介護が受けられるサービス」(39.3%)、「家族の協力」(34.7%)、「療養に必要な用具(車いす、ベッドなど)」(28.0%)との回答が多く、それぞれ全体の3~4割を占めた。
病院に対する全体的な満足度は、外来64.5%(前回調査比5.2ポイント増)、入院68.9%(1.1ポイント増)だった。項目別の満足度が高かったのは、外来、入院とも「医師による診療・治療内容」、「医師との対話」、「医師以外の病院スタッフの対応」など。逆に不満の割合が高かったのは、外来が「診察までの待ち時間」、入院は「食事の内容」だった。