厚生労働省は9月15日の「外来機能報告等に関するワーキンググループ(WG)」に、地域における協議の場の運営方法などに関する案を示した。外来機能報告の初年度となる2022年度は、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」(重点外来基幹病院)を中心に議論し、病院の意向と協議の場の結論が一致した場合に限り、協議結果を公表するとしている。
「地域における協議の場」では、外来機能報告の結果を踏まえて、「重点外来基幹病院」と「地域の医療機関の外来機能の明確化・連携」の2点を議論する。その運営方法について厚労省は、国がガイドライン(GL)を策定した上で、都道府県にはGLを参考に、地域の実情に応じた柔軟な運営を促す考え方を示した。22年度はまだ外来医療に関するデータの蓄積が少ないことから、主に重点外来基幹病院について協議。医療機関の外来機能の明確化・連携に関する協議の運営などについては、22年1月以降に予定される、外来医療計画GLの見直しに関する議論の中で検討するとした。
協議の場の参加者には、郡市区医師会等の地域における学識経験者、代表性を考慮した病院・診療所の管理者、医療保険者、市区町村―などを想定。このほか、重点外来基幹病院に関する国の基準と病院の意向が合致してない、▶国の基準に該当するが、外来機能報告で重点外来基幹病院になる意向を示していない病院、▶国の基準には該当しないが、意向を示している病院―にも出席を求める考えを示した。
協議では、まず、外来機能報告データや既存の統計調査などで地域の外来医療提供体制の現状と課題について、参加者間で認識を共有。その後、重点外来基幹病院に関する協議に入る。協議は、個々の病院ごとに意向の有無、国の基準への適合状況、外来医療の実施状況などを確認しながら進めていくが、中でも、前出の国の基準と病院の意向が合致していないケースについては、対象地域の地域性や病院の特性などを十分考慮するよう求める考えを示した。病院の意向と異なる結論が出た場合は、病院側に再検討を求め、結果が出た段階で再度、協議する。その上で、重点外来基幹病院に関する病院の意向と協議の場の結論が最終的に一致した場合に限り、協議が整ったものとして、協議結果を取りまとめて公表すると整理した。
重点外来基幹病院のうち、一般病床が200床以上の病院については、受診時定額負担の義務化対象に加えられることが決まっている。このことに関連して、織田正道構成員(全日本病院協会副会長)は、「200床クラスで地域医療支援病院になっていないところは地域に根ざした医療を提供していることが多い。重点外来基幹病院の意向がない病院について拙速に結論を出さないでほしい」と、地域の実態を踏まえた丁寧な議論を求めた。
尾形裕也部会長(九州大学名誉教授)は、定額負担と組み合わさることで、国民から見て複雑でわかりづらい制度になることを憂慮。「地域医療支援病院や特定機能病院が重点外来基幹病院にならなかったときは、重点外来基幹病院ではないけれど定額負担は取ることになり、重点外来基幹病院の意味や、(定額負担義務化対象の)特定機能病院、一般病床200床以上の地域医療支援病院の意味がわかりにくくなるのではないか」と指摘した。