7月下旬にヤフー・ニュースの古川雅子記者から、高額薬剤により高騰する医療費をどうすべきか? との趣旨のインタビューを受けました。この質問を聞いて、私は「既視感」(deja vu)にとらわれました。というのは5年前の2016年に「オプジーボ亡国論」が大きな話題となり、それに対して私は、過去の事例の検証に基づいて「技術進歩と国民皆保険制度は両立可能」と主張していたからです(『地域包括ケアと福祉改革』勁草書房, 2017, 148-162頁)。
古川記者は、私へのインタビューを起点にして医師・研究者への取材を精力的に行い、9月6日に「3千万円、1億円超の高額な新薬 問われる費用対効果と医師の悩み」を発表しました。このレポートは大変バランスがとれているのですが、字数の制約のため、私の「レクチャー」は一部しか使われませんでした。そこで、それについて詳しく説明します。