菅義偉首相の後任を選出する臨時国会が10月4日召集され、衆参両院の指名を受けた自民党の岸田文雄総裁が第100代首相に就任した。新内閣を発足させた岸田首相は同日夜、記者会見に臨み、「新しい資本主義」を実現するための政策を説明する中で「医師、看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など社会の基盤を支える現場で働く方々の所得向上に向け、公的価格のあり方の抜本的見直しを行う」と明言した。
記者会見の中で岸田首相は、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」を目指し「新しい資本主義実現会議」を立ち上げると表明。「新しい資本主義を実現していく車の両輪は、成長戦略と分配戦略だ」とし、分配戦略の1つとして「公的価格のあり方の抜本的見直し」を挙げた。
岸田首相は9月の総裁選で掲げた政策でも、看護師、介護士などの収入を「思い切って増やす」ため「公的価格評価検討委員会(仮称)」を設置し、公的価格を抜本的に見直す考えを示しており、この公的価格の議論が来年4月実施予定の診療報酬改定にどのような影響を及ぼすかが注目される。
新内閣で厚生労働相に就任した旧大蔵省出身の後藤茂之氏(自民)は5日、初登庁後の記者会見で、首相より関係閣僚(山際大志郎経済再生担当相、堀内詔子ワクチン担当相)と協力しながら「新型コロナのワクチンや治療薬の実用化、病床や医療人材の確保などに取り組み、健康危機管理を抜本的に強化する」よう指示を受けたことを明らかにした。
岸田首相は、財務相に自民党社会部会長、社会保障制度調査会長などを歴任し社会保障問題に精通する鈴木俊一氏を起用。首相秘書官にも、社会保障・税一体改革に携わるなど社会保障と財政の問題に精通する財務省の宇波弘貴主計局次長を抜擢しており、この体制で社会保障と税制の改革をどう進めるかも注目される。
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