厚生労働省は10月20日の「外来機能報告等に関するワーキンググループ(WG)」に、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」(重点外来基幹病院)の国の基準について、初診と再診に占める重点外来の実施件数がそれぞれ一定割合以上であることを求める案を示した。具体的な基準値は今後検討するが、一般病床200床以上の重点外来基幹病院は外来受診時定額負担の義務化対象施設となるために、WGでは、基幹病院を多くするために基準を低くするべきとする意見と、少なくするために高くするべきとの意見の両論が出ている。
厚労省の案によると、重点外来基幹病院の国の基準は、「初診の外来件数のうち重点外来の件数の占める割合/●%以上」かつ「再診の外来件数のうち重点外来の件数の占める割合/●%以上」と定める。重点外来の件数は、該当する外来の実施件数を合算した件数とする。重点外来の候補には現在、▶医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来、▶高額等の医療機器・設備を必要とする外来、▶特定の領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)―の3項目が挙がっている。
紹介率・逆紹介率は基準には定めず、地域における協議の場での議論の際に、参考にすべき指標として、今後、国が策定するガイドラインに盛り込む予定。
厚労省はこの日、重点外来基幹病院の国の基準について、初診と再診に占める重点外来の実施割合を変動させた場合に、基準該当施設がどのように変化するかをシミュレーションした結果も示した。12パターンで分析したが、▶最も緩い基準値の「初診35%以上かつ再診20%以上」では、許可病床200床以上の病院(精神科病院を除く)の52%、地域医療支援病院の94%が基準に該当、▶最も厳しい「初診50%以上かつ再診30%以上」では、200床以上病院の20%、地域医療支援病院の49%が該当―となった。
重点外来基幹病院の基準該当施設の増減は、外来受診時定額負担の義務化対象施設の増減に直結する。国の基準値が低く設定され、重点外来基幹病院が多くなると、それに連動して定額負担の義務化対象施設も増えることになる。このため、小熊 豊構成員(全国自治体病院協議会会長)は、「重点外来基幹病院が増えると、患者が通える病院が少なくなってしまう。地域によってはそういう病院しか通えない実情もある」と危惧し、重点外来基幹病院が少なくなるように基準値を高く設定することを求めた。
これに対して幸野庄司構成員(健康保険組合連合会理事)は、定額負担の義務化対象施設を多くするためにも、「国の基準は(低く設定して)可能な限り大きな網が掛かるようにし、その中で地域性を考慮していけばいいのではないか」と主張した。尾形裕也座長(九州大学名誉教授)は、すでに定額負担徴収の義務化対象になっている一般病床200床以上の地域医療支援病院と整合を図る必要性を指摘。「(基準値を高く設定し)基準に該当する地域医療支援病院の割合が低くなれば、地域医療支援病院でありながら重点外来を担っていないところが出てきて患者側から見た時にわかりにくくなる」と述べた。