No.4814 (2016年07月30日発行) P.76
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2016-09-16
最終更新日: 2017-01-23
講演の準備に、どうしても読んでおきたい論文があった。大学の図書館には紙媒体も電子ジャーナルもない。しかたなくPDFで購入することに。12ページと、さして長くもない英文総説がなんと40ユーロ、5000円である。ほんまか…。ほとんど売れなさそうな分厚い本でさえ5000円もすることはない。びっくりのぼったくり価格だ。
どの大学でも、図書費の高騰が問題になっている。日本の大学全体で2~300億円、それも年々値上がりしている。ご存じのように大学の経営はどこも苦しく、いずれ購入しきれなくなる可能性が高い。噂によると、某医科大学では電子ジャーナル購入を大幅にとりやめたとかいう話だ。
大学が買ってくれなくなれば、個人負担にならざるをえない。しかし、一編5000円もとられるとなると、そうそう気軽に論文を取り寄せたりでけへんやないの。
防衛策として、国内でそれなりの雑誌を作ってそこへ投稿する、というオプションがある。理論的には可能である。しかし、実際問題としてはかなり難しかろう。
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