中央社会保険医療協議会薬価専門部会は11月5日、2022年度の薬価制度改革について関係業界からのヒアリングを行った。この中で関係業界は、革新的新薬の国内開発を促進するには、新薬の価値の適正な評価と特許期間中の新薬の薬価が維持される仕組みが不可欠と強調。個別課題では「新薬創出・適応外薬解消等促進加算(新薬創出等加算)」の対象に、薬価収載後に有用性加算等に相当する効能追加があった品目などを加えることを提案した。
この日は、日本製薬団体連合会(日薬連)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)、日本医薬品卸売業連合会(卸連)が出席し、次期薬価制度改革に関する意見を述べた。日薬連は、「新薬創出等加算」の対象に、▶有用性加算の対象となり得る効能追加を行った品目、▶薬価収載時には確認できなかった有用性が市販後のエビデンス等によって認められた品目―を追加することを提言。対象拡大の際には、対象領域や市場規模について一定の要件を設けるべきとの部会の意見には、「必要ない」と異議を唱えた。
PhRMAは、市場拡大再算定の際に類似薬も連座的に再算定が適用されるルールの見直しを訴えた。具体的には、▶再算定対象品目よりも1日薬価がすでに低い類似薬、▶対象品と主たる効能・効果が異なるなど、効能・効果の重なりが小さいことが客観的に認められる類似薬―は連座制の対象から除外するべきだとの考えを示した。
EFPIAは、原価計算方式で薬価算定された輸入製品の製品総原価の開示度向上に言及。輸入製品の多くは移転価格(輸入価格)しか明らかにされず、開示度が低い品目が大半であることから、部会では補正加算率に乗じる加算係数を下げる(加算率を小さくして薬価を下げる)など、より厳格なルール運用を求める意見が出ている。これに対してEFPIAは、▶輸入製品は複数国にまたがる多くの委託先を経て製品化されており、委託先における労務経費や製造経費をすべて開示することは現実的に不可能、▶国内での開発経費や製造経費など、開示が可能な情報はすでに提供している―などと説明。移転価格を用いて薬価算定される輸入製品の開示度向上には限界があると主張した。