厚生労働省は12月1日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会に、2022年度の薬価改定の論点整理案を提示した。原価計算方式が適用された新薬で製造原価の開示度50%未満の品目の加算係数を0とすることや、高額医薬品が薬事承認された際には薬価算定の段階から中医協総会で議論することなどを盛り込んだ。
論点整理案は、①医薬品の安定供給の確保、薬価の透明性・予見性の確保、②国民皆保険の持続性・適正化、③革新的な医薬品のイノベーション評価、④その他―で構成される。
このうち①では、原価計算方式で薬価算定された新薬のうち、海外からの輸入製品の移転価格(輸入価格)について、合理的な理由がある場合以外は、他の国への移転価格の最低価格を上限とする運用の明確化を提案。製造原価の開示度が50%未満の場合は、補正加算に乗じる加算係数を現在の0.2から0に引き下げる考えも打ち出した。市場拡大再算定の際に類似薬にも再算定が適用されるルールについては、市場拡大再算定の特例の対象品目または類似品として薬価が引き下げられた後、3年間は他品目の市場拡大再算定の類似品としての適用から外す案を示した。
②では、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の企業区分について、最も加算係数(0.8)が低い区分Ⅲの対象範囲を広げ、適用企業を増やす方向での見直しを提言。具体的には、適用基準を現在の「最低点数」(0ポイント)から「2ポイント以下」に引き上げる。
④では、高額医薬品への対応について、今後、市場規模が1500億円を超える品目が薬事承認された場合には、通常の薬価算定の手続きに先立って、直ちに中医協総会に報告し、当該品目の承認内容や試験成績などに留意しつつ、薬価算定方法の議論を行うことを提案した。新規後発医薬品の薬価算定ルールでは、毎年薬価改定が導入されて間もないことなどから、現行ルールを維持する考えを示した。
製造原価の開示度50%未満の品目の加算係数を0とする案には、多くの委員が賛意を示したが、対象品目では補正加算がまったくつかないことになるため、「厳しすぎるのではないか」との指摘もあった。