中央社会保険医療協議会総会は12月22日、オンライン診療などについて議論した。初診からの実施を解禁するにあたっての報酬や算定要件の設定が最大の論点となっており、支払側はオンライン診療の適切な実施に関する指針の改訂内容を踏まえた要件の大幅緩和を主張。診療側は、オンライン診療のリスクも十分考慮すべきだとして、安易な要件緩和に異議を唱えている。
現行の「オンライン診療料」は、算定対象を「地域包括診療料」や「生活習慣病管理料」などの医学管理料等を算定する再診患者に限定。さらに、▶3カ月に1回の対面診療の実施、▶対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画の作成、▶1カ月の「再診料」等と「オンライン診療料」の算定回数に占める「オンライン診療料」の割合は1割以下―などを施設基準や算定要件に定めている。
このように本来は再診のみを対象としているが、新型コロナウイルスの感染拡大への対応として、特例的に初診からのオンライン診療が実施されるようになったことから、政府は、今年6月に閣議決定した「規制改革実施計画」で、恒久化に向けた検討を厚生労働省に指示。先月まとまったオンライン診療の実施に関する指針の改訂案では、初診からのオンライン診療について、▶患者と直接的な関係がすでに存在する「かかりつけの医師」による実施を原則とするが、医師が事前に患者の医学的情報を把握できれば実施可能、▶「かかりつけの医師」ではなく、事前の医学的情報がない場合であっても、医師・患者間でリアルタイムのやりとり(診療前相談)を行い、双方が合意すれば実施可能―と整理された。
議論で支払側は、改訂指針を踏まえ、現行の、3カ月ごとの対面診療の実施、対面診療とオンライン診療を組み合わせた診療計画の策定、再診料等に占める割合を1割以下にする―などの要件の廃止や見直しを提言。診療側は、要件緩和によってオンライン診療しか行わない専門クリニックなどが横行する事態を危惧。そうした不適切な診療を防止するためにも、これまで通り対面診療との組み合わせの原則や、オンライン診療の実施割合を1割以下とする施設基準を維持するべきだと反論。対面診療と比べた場合のメリットとリスクを十分勘案しながら丁寧に議論を重ねていく必要性を説いた。