政府は12月24日、2022年度税制改正の大綱を閣議決定した。厚生労働省関係では、地域医療構想実現のための病院の再編で、不動産を取得した場合の税制上の優遇措置を新たに導入する。
厚労省所管のうち、健康・医療分野では、①地域医療構想実現に向けた税制上の優遇措置の創設、②難病法等に基づく医療費助成の見直しに伴う税制上の所要の措置、③社会保険診療報酬に係る事業税非課税措置の存続、④医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る事業税の軽減措置の存続―などが盛り込まれた。
地域医療構想の実現を後押しする税制上の優遇措置では、21年度の税制改正時に、厚生労働大臣が認定した再編計画に基づいて病院が統合・再編のために取得した資産(用地・建物)について、登録免許税の税率を1/2に軽減する優遇措置を創設済み。
22年度はこの特例の対象を不動産取得税にまで拡大する。特例の適用を希望する医療機関は、地域医療構想調整会議で合意された病院の再編計画を都道府県経由で、厚労省に提出。厚労相に再編計画が認定されれば、同計画に基づいて取得した用地・建物に対する不動産取得税の課税標準が、現行の1/2に軽減される。ただし、特例の適用は24年3月31日までの間に限られる。
②では、難病法と児童福祉法について、指定難病および小児慢性特定疾病に対する医療費助成の開始時期を申請時点から重症化時点に前倒しする改正が予定されており、改正法案が成立した場合には、これまでと同様に医療費助成に対する非課税措置と差押禁止措置を講じるもの。③④は検討課題と位置づけ、「税負担の公正性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方を検討する」とした。
このほか国民健康保険税の課税限度額の見直しも実施。国民健康保険税の基礎課税額における課税限度額は現行の63万円を65万円に、後期高齢者支援金等課税額における課税限度額は現行の19万円を20万円にそれぞれ引き上げる。