厚生労働省の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(WG)」は5月11日、2024年度からの次期医師確保計画に向けた議論を開始した。年内を目途に、計画の記載項目や医師偏在指標の算出方法などを定めた「医師確保計画策定ガイドライン(GL)」の改正案を取りまとめる予定。GLの改正を受け、都道府県は第8次医療計画とともに、23年度中に次期医師確保計画を策定する。
医師確保計画は、▶医師の確保の方針、▶目標医師数、▶目標医師数を達成するための施策(いずれも三次・二次医療圏ごとに策定)―などで構成。医療計画の一部として、3年ごとに見直すことになっている。次期計画の対象期間は24~26年度の3年間。
11日のWGは、医師確保計画策定の基礎となる医師偏在指標をテーマに意見交換した。計画策定にあたって、都道府県はまず、全国共通の計算式で二次・三次医療圏ごとの医師偏在指標を算出。その上で、全医療圏の指標と比較した順位に応じて対象医療圏を医師少数区域(下位33.3%に該当)、医師中程度区域、医師多数区域(上位33.3%に該当)に分類し(いずれも二次医療圏の場合の名称)、各分類のルールに沿って医師の確保方針や目標医師数などを定める。たとえば、他の二次医療圏からの医師確保は、医師少数区域と医師中程度区域では可能だが、医師多数区域では原則、不可となっている。
厚労省は医師偏在指標見直しの論点として、①大学病院等に勤務する医師が他の医療機関に非常勤医師として派遣されている実態をどう反映するか、②医師偏在指標の受療率の計算に全国受療率を用いることの妥当性、③医療需要(受療率)算出のベースとなる患者調査について、コロナ禍による医療需要の減少が見込まれる20年調査ではなく、17年調査を用いることの妥当性―の3項目をWGに提示した。
これに対し、大屋祐輔構成員(全国医学部長病院長会議理事)は、医師確保対策の柱の1つである医師の働き方改革の主な対象が病院勤務医であることから、「(診療所の医師とは別に)病院で働く医師の偏在指標を出さなければ不完全な施策になるのではないか」と指摘。他の複数の構成員も診療所と病院の指標を分ける考えに賛同した。また、医師少数・多数区域の設定について、柔軟な運用が可能になるような見直しを求める意見もあった。