厚生労働省(厚労省)は5月25日の「第8次医療計画等に関する検討会」に、医療圏の設定や基準病床数の算定方法の見直しについての論点を提示した。二次医療圏の設定では第7次医療計画策定時と同様、患者の流出入状況などから入院医療を提供する区域として成り立っていない医療圏について、他の医療圏との統合も視野に都道府県に見直しを求める案などを示した。
第7次医療計画の作成指針では、人口20万人未満の二次医療圏のうち、患者の流入率20%未満、流出率20%以上の場合などが見直し検討の目安とされていた。全国には現在、335の二次医療圏があるが、その半数近くに及ぶ162医療圏が人口20万人未満。2040年に向けた人口構造の変化で、こうした人口規模の小さい医療圏はさらに増えると見込まれている。
このため厚労省は第8次医療計画においても、▶人口規模や患者の流出入の状況から入院医療を提供する区域として成り立っていないと考えられる場合、▶地域医療構想の構想区域と一致していない場合、▶医師偏在指標上の医師少数区域に該当する二次医療圏であって、近隣の二次医療圏の医療機関で当該二次医療圏の住民の医療を提供することを企図しているような場合―を二次医療圏見直しの目安とする案を提示。検討会での議論を求めた。
一方、二次医療圏における基準病床数の算定式については、▶一般病床の平均在院日数の短縮化と地域間格差の縮小(平均在院日数が全国値よりも高い場合は短縮率を厳格化するなど)、▶介護施設や在宅医療への移行促進(療養病床数から地域医療構想における推計と整合的に設定した「介護施設及び在宅医療等対応可能数」を控除する)―といった政策的意図を織り込むことの是非が、論点となった。
この日の議論では二次医療圏の設定について、人口20万人未満の医療圏だけでなく、人口100万人以上の大規模医療圏の取扱いも整理するべきだと複数の構成員が指摘。これを受け、厚労省も前向きに対応する考えを示した。基準病床数の算定式では、一般病床の平均在院日数の短縮や地域間格差の縮小を織り込む点について、第7次医療計画において実際にどの程度の成果があったのか、効果検証を行うよう求める意見があった。