米国科学誌「サイエンス」が7月21日付の記事で、アミロイドβオリゴマーの一種である「Aβ*56」に関する論文の信憑性について調査がなされていると報じたことについて、エーザイは7月25日、アルツハイマー病治療薬候補として同社が開発中の抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」とは「一切関係がない」とするコメントを発表した。
「サイエンス」の記事は、米ミネソタ大学の研究チームがアルツハイマー病に関連する認知障害に寄与している可能性があるとして「ネイチャー」誌上で2006年に発表した「Aβ*56」の研究論文について画像操作など捏造の疑惑があると報じたもの。
エーザイはAβ*56論文の問題は「レカネマブとは一切関係がない」と強調。レカネマブは、早期アルツハイマー病を対象とした大規模臨床第2相試験(201試験)でアミロイドβ除去作用と臨床症状悪化抑制の相関関係が認められており、現在第3相試験(Clarity AD)を実施中として、開発を続ける考えを表明した。
レカネマブは、迅速承認制度に基づく生物製剤ライセンス申請が米FDAに受理され、2023年1月6日を目標に 現在審査が進められている。
アミロイドβを標的として開発中の主なアルツハイマー病治療薬候補
【エーザイ】レカネマブ(開発コード:BAN2401)
【イーライリリー】ドナネマブ(開発コード:LY3002813)
【ロシュ】ガンテネルマブ(開発コード:RG1450)
【関連情報】
Potential fabrication in research images threatens key theory of Alzheimer’s disease (2022年7月21日付「サイエンス」掲載記事)