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一般外来で診る子どもの発達障害〈前編〉─「寄り添う力」を身につけよう[プライマリ・ケアの理論と実践(153)]

No.5129 (2022年08月13日発行) P.12

小橋孝介 (鴨川市立国保病院医療参事)

登録日: 2022-08-11

最終更新日: 2022-08-08

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SUMMARY
発達障害診療の中で重要なのは,子どもと家族の背景を理解し,解釈モデルを意識し慢性的悲哀を抱え揺れ動く家族に寄り添い,必要な支援を提供していくことである。

KEYWORD
慢性的悲哀
障害や慢性疾患を持つ子どもの親が,否定と肯定の感情の間で連続的に揺れ動きながら子どもと向き合い,適応していく過程を指す。死の受容過程のように段階的に受容に向かっていくことは少ないとされる。

小橋孝介(鴨川市立国保病院医療参事)

PROFILE
2005年自治医科大学卒業,2022年4月より現職。医師,公認心理師。日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医,日本内科学会認定医,日本小児科学会専門医・認定指導医,日本小児神経学会専門医。

POLICY・座右の銘
なるようになる,全力を尽くせ


 

1 発達障害の診断

発達障害の診断は米国精神医学会が作成している『精神障害の診断・統計マニュアル第5版』(DSM-5)等の操作的診断に基づくことが多い。操作的診断とは,病因ではなく臨床像の記述によって発達障害を定義し,特徴的な症状が認められるかどうかで診断を行うものである。しかし,この診断というのは,白と黒の間のグラデーションのどこに線を引くかという問題であり,何らかの行動の特性等から困難を抱える子どもと家族に寄り添い支えるという,本質的なプライマリ・ケアの現場における発達障害診療の中では必ずしも重要ではない。

診断はあくまで道具であると認識するとよい。たとえば,福祉サービス利用のため,子どもと関わる他者に対して付き合い方の「コツ」を知ってもらうため,環境調整のための配慮を教育現場でしてもらうためなどである。





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