著: | 渡部晃平(洛和会音羽病院・総合内科) |
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判型: | B5変型判 |
頁数: | 496頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2023年03月13日 |
ISBN: | 978-4-7849-6850-3 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
本書には私の研修医時代の苦悩が詰まっています。
自分で言うのもためらわれますが、私は非常に出来の悪い研修医でした。国家試験に向けて学んだ知識と実際の臨床のギャップに戸惑い、うまく対応することができなかったのです。医師になると、学生時代に聞いたこともないような知識が山のように降ってきます。当時の私は、何から勉強していいのかすら分かりませんでした。そこで私は、勉強したことを自分で理解できるようにまとめて、ブログで発信することを始めました。それによって少しずつ医学を学び、仕事に適応することができたのです。
それからずいぶん長い時間が経ち専門医にもなった頃、ブログを読み返してみると、曖昧な部分も多く、あまり必要でないことを一生懸命勉強していたりと、とても公開しておくに足るものではありませんでした。そこで、それらをまとめ直し、同じような苦悩を抱える医療者の役に立ててもらうことを思い立ちました。結局、元記事の99%以上を書き直すことになりましたが、本書には私の研修医時代の苦悩が詰まっています。(前書きより)
第1章 学んでおくべき基本的な話
第2章 検査に関わる話
第3章 画像検査
第4章 薬に関わる話
第5章 循環器
第6章 電解質
第7章 栄養
第8章 感染症
第9章 悪性腫瘍
第10章 集中治療
第11章 重要な医療の話
第12章 データの解釈
第13章 社会と医学
(B5変型判カラー496ページ・電子版付き)
第1章 学んでおくべき基本的な話
1 初めての急変対応
2 輸液の考え方
3 輸液の実際
4 酸素投与を考える
5 酸素投与をもっと考える
6 バイタルサインの考え方
7 γ計算を理解する
8 血中薬物濃度(ピーク値・トラフ値)
9 貧血のマネジメント
10 輸血のルール
11 血漿分画製剤の使い方
12 血糖管理の基礎知識
第2章 検査に関わる話
13 白血球分画と目視像
14 血液ガス分析を読む
15 尿定性を解釈できますか
16 尿沈渣を解釈できますか
17 尿生化学検査の活用
18 呼吸機能検査の考え方
19 凝固検査の考え方
20 凝固とDIC
21 髄液検査の解釈
22 胸水検査の解釈
23 腹水検査の解釈
第3章 画像検査
24 X線検査の基礎知識
25 胸部X線の読み方
26 胸部CTの読み方
27 MRIの活用法
28 造影剤と有害事象
第4章 薬に関わる話
29 便秘薬の話
30 止瀉薬・整腸剤の話
31 ステロイドの考え方
32 ステロイド外用薬
第5章 循環器
33 心音をちゃんと聴診できますか
34 心雑音をちゃんと聴診できますか
35 心電図を理解するための解剖
36 心電図波形の見方
37 心エコーを始めよう
38 ドプラ法で弁膜症を診る
39 カルシウム拮抗薬の使い分け
40 はじめてのClinical Scenario
第6章 電解質
41 ナトリウムの考え方
42 低ナトリウム血症の鑑別
43 カリウムの考え方
44 血清カリウム異常の治療
45 カルシウム・リンの考え方
46 腎臓とカルシウム
47 マグネシウムの考え方
第7章 栄養
48 栄養投与のルール
49 経腸栄養の実際
50 ビタミンB群の使い方
51 その他のビタミン
52 栄養投与経路について
第8章 感染症
53 培養のロジック
54 抗菌薬の選び方
55 抗菌薬に関する重要事項
56 よく使う抗菌薬の特徴
57 MRSAについて
58 CD関連腸炎を疑ったら
59 知らなければならないカンジダ血症
60 非専門医にとってのB型肝炎
61 インフルエンザについて
62 結核の診断プロセス
63 潜在性結核の治療
64 破傷風予防の考え方
第9章 悪性腫瘍
65 RECISTによる治療効果の判定
66 CTCAEによる有害事象の評価
67 はじめての放射線治療
68 医療用麻薬の使い方
第10章 集中治療
69 集中治療における鎮静・鎮痛・筋弛緩
70 人工呼吸を理解するための生理学
71 人工呼吸器の設定
72 NPPVを使ってみよう
73 HFNCと加湿
74 カテコラミンの使い分け
75 動脈ラインの活用
76 血行動態モニターを使おう
77 ARDSのマネジメント
78 ECMOの基礎知識
第11章 重要な医療の話
79 透析療法のあり方
80 胸腔ドレナージを考える
81 排尿障害を考える
82 排尿障害への介入
83 甲状腺疾患を疑ったら
84 認知症とせん妄のマネジメント
85 しゃっくり、どう止める?
86 意外と知らない生理の話
87 CVポートを知ろう
88 院内発熱のfever work up
89 不明熱を考える
第12章 データの解釈
90 感度・特異度・尤度比
91 医学統計の基礎
92 初めての英語論文抄読
第13章 社会と医学
93 DNARの考え方
94 死亡確認と出棺
95 診療報酬制度とDPC
96 高額療養費制度とは
97 難病申請と障害者認定
98 介護保険と介護サービス
99 高齢者施設を知ろう
100 療養型病院を知ろう
自分で言うのもためらわれますが、私は非常に出来の悪い研修医でした。
一生懸命に頑張ってはいたのですが、国家試験に向けて学んだ知識と実際の臨床のギャップに戸惑い、うまく対応することができなかったのです。医師になると、学生時代に聞いたこともないような知識が山のように降ってきます。そういったものに対峙したとき、成長する良いきっかけだと前向きに取り組むのが理想なのでしょうが、そんな風にできずに潰れてしまう研修医も多くいます。
国家試験に合格するまでには、明確な指針があります。しかし研修医にはありません。当時の私は、何から勉強していいのかすら分かりませんでした。あの頃は、研修医向けの参考書もまだ少なかったと記憶しています。私は当時から、研修医が学ぶべき勉強の指針のようなものを、誰かがまとめる必要があると考えていました。
そこで私は、勉強したことを自分で理解できるようにまとめて、ブログで発信することを始めました。それによって少しずつ医学を学び、仕事に適応することができたのです。それからずいぶん長い時間が経ち、専門医にもなったところで、ふと放置していたブログのことを思い出しました。読み返してみると当時の記事には曖昧な部分も多く、あまり必要でないことを一生懸命勉強していたりと、とても公開しておくに足るものではありませんでした。そこで、過去に記載していた内容をまとめ直すことで、同じような苦悩を抱える医療者の役に立ててもらうことを思い立ちました。結局、元の記事の99%以上を書き直すことになりましたが、本書には私の研修医時代の苦悩が詰まっています。
今でこそ多くの研修医向け書籍が出版されており、私が研修医をしていた時代と比較して相対的には本書の役割は小さくなっているのかもしれません。しかしながら、各領域にまたがる臨床の知識を横断的にまとめた本書は、専門領域について記載された教科書とは異なる、特別な役割を持っていると考えています。とにかく「国家試験に出ないけど必要なこと」をまとめています。
前置きが長くなりましたが、本書が皆様の学びの手助けになり、結果として多くの患者の命を救うことになれば、私にとってそれ以上の喜びはありません。
渡部晃平
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。