産婦人科編⑤ 日本プライマリ・ケア連合学会監修
本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。現場のニーズを熟知しているエキスパートが,プライマリ・ケア医にとって「まさにそこが知りたかった!」というポイントをわかりやすく解説します。
厚生労働省の調査では,40歳代女性の31.5%,50歳代女性の47.2%に更年期症状があるにもかかわらず,実際に診断を受けているのは40歳代で3.6%,50歳代で9.1%しかいません1)。働く女性4300人を対象にした調査によると,更年期症状が原因での離職や降格は約15%(約33万人)に起こっており,日本全体の経済損失は,1800億円以上と推定されています2)。
更年期とは,閉経の前後5年間(合計10年間)を指し,閉経とは,月経が止まり12カ月経過したときに診断します。
プライマリ・ケア現場では,40歳代後半~50歳代前半の女性には,更年期障害を常に鑑別疾患に挙げて診療を行う必要があります。更年期に起こる症状で,器質的な原因がなく,日常生活に支障をきたしている状態を更年期障害と言い,表1のような症状があります。