厚生労働省は8月19日の社会保障審議会医療保険部会に、行政と審査支払機関で組織する「オンライン資格確認の普及に向けた連携会議」を各都道府県に設置することを報告した。オンライン資格確認等システムの導入推進体制の強化が狙い。
厚労省によると8月14日時点の顔認証付きカードリーダーの申込済み施設は、全医療機関・薬局の62.8%、準備完了施設数は31.7%、運用開始施設数は26.8%。今の導入ペースでは、「9月末時点で概ね5割の施設に導入」とする中間到達目標の達成は難しいという。地域差も大きく、特に病院の場合、運用開始施設数の割合が47都道府県中で最も高い岩手県が75.0%であるのに対して、最下位の茨城県は25.9%にとどまる。
こうした現状をふまえ厚労省は、都道府県における導入推進体制を強化する必要があると判断。厚労省に各都道府県担当を置くことにした。各都道府県には、地方厚生(支)局、支払基金支部、国保連の担当者から成る「オンライン資格確認の普及に向けた連携会議」を設置し、都道府県下での導入状況の確認、関係団体と個別医療機関・薬局への働きかけ、説明会の実施などに取り組む。これらに加え、各都道府県の保険者協議会等の場においてもオンライン資格確認の推進について議論するよう求める考えだ。
同日の部会には、訪問看護などへのオンライン資格確認の導入見通しや、電子処方箋のモデル事業についての報告もあった。
オンライン資格確認は今後、外来診療と同様に受診時に保険証を使う訪問看護、柔整あはき施術所などにも拡大予定。このうち22年度は訪問看護やオンライン診療について、患者の居宅で医療従事者が持参、または患者本人のモバイル端末やパソコンを使ってマイナ保険証の読み取りや、薬剤情報等の提供に関する同意の取得・登録を行うシステムを開発する。訪問看護におけるオンライン請求の開始に合わせ、24年4月からの本格運用を目指す。
また、電子処方箋のモデル事業は10月末から、▶山形県酒田地域、▶福島県須賀川地域、▶千葉県旭地域、▶広島県安佐地域―の4地域で実施(1年間)。23年1月からの本格導入に向けた運用面の検証のほか、電子処方箋を活用した先進的な取組みや課題、優良事例を収集し、電子処方箋のさらなる活用につなげる。