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前立腺癌とテストステロン 【50ng/dLという去勢域の目安を見直す必要性を後押しする報告が相次いでいる】

No.4824 (2016年10月08日発行) P.46

坂本信一 (千葉大学泌尿器科)

登録日: 2016-10-07

最終更新日: 2016-10-11

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従来,前立腺癌患者のホルモン療法下における去勢域は50ng/dL以下と言われてきたが,この値は40年以上前の測定機械が限られる時代に設定されたもので,臨床的なエビデンスで構築されたものとは言いがたくもあった。近年の測定方法によると,外科的去勢の場合,血清テストステロンの中央値は15ng/dL前後と報告されている。

そのような背景がある中,前立腺癌患者の適切な去勢域について複数の報告がある。血清テストステロン値を3つのグループ(<20ng/dL,20~50ng/dL,≧50ng/dL)にわけたところ,数値が低い群であるほど去勢抵抗性獲得までの時間が有意に延長したとする報告や,血清テストステロンを30ng/dLより低く保つことが生存期間を延長するといった報告がある1)。わが国においても,当施設がcombined androgen blockade(CAB)下において,Nadirテストステロン20ng/dLが予後と関連することを報告した2)。今後,臨床的に意義のある去勢域として,50ng/dLよりさらに低い値で議論される可能性が示唆されている。

近年,日常臨床において新規アンドロゲン受容体(AR)阻害薬を使用する機会が増える中,一部には,さらに低い血清テストステロン値の有用性を示唆する報告がある。特に,アビラテロン投与症例では,さらに低い血清テストステロン域2.3~8.6ng/dLにおいて予後との関連を認めている。今後,新規去勢域を含めた血清テストステロン値のエビデンスが構築されることが予想される。

【文献】

1) Sakamoto S:Int J Urol. 2015;22(1):134.

2) Kamada S, et al:J Urol. 2015;194(5):1264-70.

【解説】

坂本信一 千葉大学泌尿器科

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