厚生労働省の「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(WG)」は9月28日、第8次医療計画に向けた二巡目の議論に入った。同省はこの中で、在宅療養支援診療所(在支診)や「在宅医療に必要な連携を担う拠点(在宅医療連携拠点)」を医療計画に位置づけることなどを論点として提示し、おおむね了承された。
WGは医療計画に記載する在宅医療や在宅医療・介護連携の推進について検討し、その結果を適宜、「第8次医療計画等に関する検討会」に報告。年内にとりまとめを行う予定となっている。
在宅医療の提供体制では、高齢者人口の増加に伴って今後、多くの地域で大幅な需要増が見込まれる訪問診療や訪問看護への対応が重要課題の1つ。国が医療計画策定時の手引きとして示している「在宅医療の体制構築に係る指針」には、在宅医療提供体制の中核となる「在宅医療において積極的役割を担う医療機関(積極的医療機関)」と「在宅医療連携拠点」を「医療計画に位置付けることが望ましい」と記載されている。
しかしながら、第7次医療計画で実際に「積極的医療機関」を位置づけている都道府県は全体の11%、「在宅医療連携拠点」(市区町村、郡市区医師会、在宅医療・介護連携支援センターなど)は19%にとどまる。また、「積極的医療機関」は在支診・在支病を想定したものだが、これらがない地域もあり、在支診がない地域は市町村の27%、二次医療圏の2%、在支病がない地域は市町村の63%、二次医療圏の14%に及ぶ。
こうした実態をふまえ厚労省は、▶「積極的医療機関」と「在宅医療連携拠点」を医療計画に位置づける、▶「積極的医療機関」は、原則、在支診・在支病を医療計画に位置づけることとし、機能強化型在支診・在支病が整備されている地域では、これら医療機関がより積極的な役割を担う―ことなどを提案した。
一方、在宅医療の圏域については、二次医療圏にこだわらず、地域の実情に応じた弾力的な設定を可能とする現在の取り扱いの継続を提案。その際、圏域内に「積極的医療機関」と「在宅医療連携拠点」を少なくとも1つは設定することを前提とするよう、求める考えも示した。