先天性食道狭窄症は,気管原基性狭窄,筋線維性狭窄,膜様狭窄に分類され,食道バルーン拡張術で改善することもありますが,特に気管原基性狭窄の場合,切除術が必要となります。病型診断に超音波内視鏡検査が有用であると言われていますが,小児食道における本検査法はいまだ確立されておらず,当院でも診断・治療に難渋することがあります。
超音波内視鏡検査における食道内軟骨の描出・判定方法について,大阪大学・奥山宏臣先生のご教示をお願いします。
【質問者】
望月響子 神奈川県立こども医療センター一般外科
気管原基性狭窄は狭窄範囲が限局性でバルーン拡張術が無効なことが多いので,手術が第一選択となります。一方,筋線維性狭窄,膜様狭窄ではバルーン拡張術が第一選択となり,効果がないものに対して手術が行われます。したがって,治療開始前に気管原基性狭窄を鑑別することが重要ですが,実際には診断困難な例もみられます。CTやMRIなどの画像検査は,食道壁内の小さな迷入組織を描出することは困難なので,狭窄部位の質的な診断方法としては有効ではありません。
(1)超音波内視鏡
超音波内視鏡は内視鏡の先端に超音波振子を取り付けたもので,内腔面から食道壁の微細な層構造を描出できるので,食道狭窄の質的な診断に有用です。先天性食道狭窄症に用いられているものは,膵管腔内超音波検査などに用いられるカテーテルタイプの細径プローベで,直径は2mm前後です。バルーンのないものはプローベ周囲を水で満たす必要があります。正常の食道壁は,粘膜層,粘膜下層,固有筋層,外膜の7~9の層状構造として描出されます。
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