厚生労働省が11月30日に公表した「令和2(2020)年度国民医療費の概況」によると、20年度の国民医療費は42兆円9665億円となり、前年度比で1兆4230億円(3.2%)減少したことがわかった。減少は4年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による受診控えが響き、減少幅は1954年度の統計開始以来、最大となった。
人口1人当たりの国民医療費は、前年度比1万1200円(3.2%)減の34万600円。国内総生産(GDP)に対する比率は8.02%(0.05ポイント増)となった。
制度区分別の国民医療費は、公費負担医療給付分3兆1222億円(構成割合7.3%)、医療保険等給付分19兆3653億円(45.1%)、後期高齢者医療給付分15兆2868億円(35.6%)、患者等負担分5兆1922億円(12.1%)。財源別では、公費16兆4991億円(38.4%)、保険料21兆2641億円(49.5%)、その他5兆2033億円(12.1%)となった。その他のうち患者負担は4兆9516億円(11.5%)だった。
診療種類別の内訳は、医科診療医療費30兆7813億円(71.6%)、歯科診療医療費3兆22億円(7.0%)、薬局調剤医療費7兆6480億円(17.8%)、入院時食事・生活医療費7494億円(1.7%)、訪問看護医療費3254億円(0.8%)、療養費等4602億円(1.1%)。医科診療医療費の内訳は、入院医療費が16兆3353億円(38.0%)、入院外医療費が14兆4460億円(33.6%)だった。
年齢階級別の国民医療費は、0~14歳が2兆1056億円(4.9%)、15~44歳が5兆129億円(11.7%)、45~64歳が9兆4165億円(21.9%)、65歳以上が26兆4315億円(61.5%)で、65歳以上が全体の6割以上を占める状況は例年と変わりない。人口1人当たり国民医療費は、65歳未満が18万3500円、65歳以上は73万3700円だった。
医科診療医療費を主傷病による傷病分類別でみると、「循環器系の疾患」の6兆21億円(19.5%)が最も多く、次いで「新生物<腫瘍>」4兆6880億円(15.2%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」2兆4800億円(8.1%)など。年齢階級別でみると、65歳未満は「新生物<腫瘍>」(1兆5816億円・14.3%)が、65歳以上では「循環器系の疾患」(4兆7908億円・24.2%)がそれぞれ最も多い結果となった。