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■NEWS 次期医療保険制度改革の見直しの方向性を提示―社保審医療保険部会で厚労省

No.5148 (2022年12月24日発行) P.70

登録日: 2022-12-13

最終更新日: 2022-12-13

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厚生労働省は129日の社会保障審議会医療保険部会に、次期制度改正の主な課題の見直しの方向性や財政試算を提示した。出産育児一時金と後期高齢者医療制度における高齢者の負担率の見直しで、後期高齢者の1人当たり保険料は年間で5300円増えるとしている。

厚労省はこの日、(1)出産育児一時金、(2)後期高齢者医療制度における高齢者負担率(高齢者が保険料で賄う割合)、(3)前期高齢者における財政調整―などの見直し案を提示した。

1)では出産育児一時金(現行原則42万円)を大幅引き上げるとともに、2024年度から費用の一部を後期高齢者医療制度が支援する仕組みを導入する。導入当初は後期高齢者医療制度による支援割合を出産育児一時金の対象額の7%に設定。その後は、現役世代と後期高齢者の1人当たり負担額の伸び率がそろうように支援割合を設定する。

2)は、介護保険を参考に後期高齢者1人当たり保険料と現役世代1人当たり後期高齢者支援金の伸び率が同じになるよう、高齢者負担率の設定方法を見直す。保険料負担のあり方も、負担能力のある高齢者には応分の負担を求める仕組みに変更。具体的には、年間の保険料の賦課限度額(現行66万円)の80万円への引き上げ、保険料における所得割率の引き上げ(現行は11の均等割と所得割の比率を4852程度に変更)―を実施する。

■制度改正で後期高齢者1人当たり保険料は年3900円~13万円増加

これらの制度改正による後期高齢者1人当たり保険料の平均増加額は、出産育児一時金を47万円に引き上げた場合で年間5300円。年収別では、年収80万円・増減なし、▶年収200万円・3900円増、年収400万円・14200円増、年収1100万円・13万円増―になるという(出産育児一時金は50万円への引き上げが決まったため、実際の影響額はこれよりも大きい)。

3)では財政基盤が脆弱な保険者の前期高齢者納付金の負担を軽減するため、被用者保険間で費用負担を調整する「前期財政調整制度」について、現在の「前期高齢者の加入者数に応じた調整」に加え、部分的に各保険者の1人当たり総報酬に応じた調整(報酬調整)を導入する。見直しで健保組合や国民健康保険などの前期高齢者納付金負担は増えるが、協会けんぽでは減少。減少額は最大で1450億円になると見込まれている(報酬調整の導入割合が12の場合)。

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