厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」は1月12日、医療機能情報提供制度の報告項目見直しなどについて議論した。オンライン資格確認で取得した診療情報の診療への活用の有無や、医療安全対策に関する項目の追加などが柱。同省は同日の議論を踏まえ、年度内を目途に関係告示を改正する。
医療機能情報提供制度は、医療機関に自院の医療機能情報を都道府県に報告することを義務付け、国民・患者が医療機関を選ぶ際に活用できるよう、都道府県が運営するウェブサイトなどで公表する仕組み。
報告項目は厚労省の関係部局などからの要望に応じ、定期的な見直しが行われており、今回は、(1)「一般不妊治療」、「生殖補助治療」の実施、(2)オンライン資格確認(マイナ保険証の利用)により取得した情報を活用した診療の実施の有無、(3)電子処方箋発行の可否、(4)医師少数区域経験認定医師の人数、(5)救急救命士、管理栄養士、栄養士の人数、(6)医療安全対策に関する事項として医療計画に盛り込まれた項目―を追加する。
(4)の医師少数区域経験認定医師は、医師少数区域等で6カ月以上の勤務経験がある医師を厚生労働大臣が認定する制度。医師の偏在対策として導入され、地域医療支援病院の管理者要件にもなっている(2020年度以降に臨床研修を開始した医師を管理者とする場合から適用)。(5)は救急救命士の業務の場が救急外来にまで拡大されたことなどを受けたもの。(6)の見直しのうち、診療所については、「医療安全管理者の配置の有無」や「医療事故調査制度に関する研修の管理者の受講の有無」などを追加する。
同日は、現在は都道府県によってばらつきがある医療機能情報の公表内容を統一したり、都道府県を跨いでの情報検索を可能にしたりするための全国的システム(全国統一システム)への移行スケジュールなども報告された。移行後、医療機関は「医療機関等情報支援システム(G-M I S)」を利用して医療機能を報告し、患者・国民は全国統一システムにアクセスして情報検索や閲覧を行うことになる。厚労省によると、G-MISによる医療機能報告は23年度定期報告分(24年1〜3月に報告)から、全国統一システムによる情報検索は24年4月頃から可能になる見通し。