厚生労働省は3月8日に開かれた中央社会保険医療協議会総会に、現行の新型コロナウイルス感染症対応の診療報酬上の特例について、「見直しの方向性案」を提示した。外来・入院の特例を一部縮小する一方で、高齢者の感染が多い現状を踏まえて介護施設入所者が感染した場合の対応を充実させる考えを打ち出した。
新型コロナの感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されることに伴い、政府は3月上旬に、関連する特例措置の見直し案を示すとしている。
厚労省の「見直しの方向性案」は、外来の特例について、▶コロナ疑い患者に対する「院内トリアージ実施料」(300点)は、かかりつけ患者に限らず、疑い患者を幅広く受け入れるなどの要件を設定した上で継続、▶発熱外来での疑い患者に対する「二類感染症患者入院診療加算」(147点)は終了、▶確定患者に対する「救急医療管理加算」(950点)や、中和抗体薬を投与した場合の特例算定(2850点)は、確定患者に療養指導を行った場合や、入院調整を行った場合にそれぞれ所定点数を算定する仕組みに見直す―ことなどを提案。
また、緊急往診時の「救急医療管理加算」(2850点)の算定と、中和抗体薬を投与した場合の同加算の特例算定(4750点)は縮小の方向で検討する考えを示した。
入院では、「二類感染症患者入院診療加算」等の特例算定は継続するが、重症・中等症患者等における「特定集中治療室管理料」等の増点特例や、回復患者を受け入れた場合の「二類感染症患者入院診療加算」等の特例算定は縮小する方向で検討することを提案した。
一方、介護施設入所者等への対応は、▶緊急往診時の「救急医療管理加算」の特例算定(2850点)を継続、▶看護職員がいる場合の入所者に対するオンライン診療を新たに評価、▶リハビリテーションや介護保険サービスとの連携が充実している医療機関が、介護施設等から患者を受け入れた場合の評価を新設―など、充実を図るとしている。
この「方向性案」に対して診療側は、特例の縮小・廃止にあたっては十分な猶予期間などの経過措置が必要不可欠だと主張。これに対して支払側は、今年9月に原則すべての特例を廃止するよう改めて要望した。これらの議論を受けて事務局は、今年夏ごろまでの感染動向や医療提供体制の状況を見た上で、特例の継続・廃止について改めて議論したい意向を明らかにした。