政府の医療DX推進本部幹事会は3月8日、「医療DXの推進に関する工程表骨子案」をまとめ、同日からパブリックコメントの募集を始めた。期限は4月6日。診療報酬改定に伴う業務の効率化と医療保険制度全体の運営コスト削減を目指す「診療報酬改定DX」では、改定の施行時期見直しを検討課題に位置づけた。政府はパブリックコメントの結果も踏まえてさらに検討を深め、今春に工程表を策定・公表する考え。
工程表骨子案は医療DXの柱となる、(1)マイナンバーカードと健康保険証の一体化の加速、(2)全国医療情報プラットフォームの構築、(3)診療報酬改定DX―の3項目について、具体的な施策と到達点を示した。
(1)では、医療DXの基盤システムとなるオンライン資格確認について、2023年4月からの導入原則義務化によって(経過措置や例外施設あり)医療機関・薬局における対応を可能にするとともに、訪問診療や訪問看護、あん摩・鍼・灸の施術所等でのオンライン資格確認の構築、マイナカードのスマホ搭載によるスマートフォンでの健康保険証利用の仕組みの導入―などを推進し、24年秋の健康保険証廃止を目指す。
(2)では、電子処方箋の利用をおおむねすべての医療機関・薬局に拡大。全国の医療機関・薬局で電子カルテ情報の一部共有、閲覧を可能とする「電子カルテ情報共有サービス(仮称)」も構築する。当初は、3文書・6情報(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書/傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報)の共有から進め、順次、対象情報の範囲を拡大していく。検査結果等について、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)として患者本人がマイナポータルを通じて確認できる仕組みも併せて構築する。
(3)では、診療報酬改定時のシステム改修などに要する人的・金銭的コストの削減を目標に、▶マスタおよびそれを活用した電子点数表の改善・提供、▶診療報酬の算定と患者の窓口負担金計算を行うための全国統一の共通的な電子計算プログラムとして、共通算定モジュールを開発・提供、▶デジタル化に対応するための診療報酬点数表におけるルールの簡素化・明確化―などを実施。診療報酬改定の施行時期の見直しについても検討を進めるとしている。